村山聖さんが愛した ニラもやし炒め 松ケン&東出昌大も訪れた安くてうまい店

 人気のニラもやし炒め定食
 倉田政男さん(左)と紀美子さん
2枚

 今月から「晴美ねえさんのロケ地のうまいもん」がスタートする。映画やドラマにゆかりの店や食べ物をご紹介。初回は大阪市福島区のJR福島駅前にある「更科食堂」を。29歳で夭折(ようせつ)した天才棋士、村山聖(さとし)九段の生涯を描いた映画「聖の青春」に登場し、生前の聖さんが通った安くてうまい庶民の店だ。近くには聖さんが暮らしたアパートがあり、大家さんの好意で見学もできる。ロケ地を訪ねる「聖地巡礼」ブームが続く昨今。故人の足跡と映像がリンクする、リアル・聖地を歩いてみた。

 ◇   ◇

 懐かしさ漂う「更科食堂」は1971(昭和46)年創業。関西将棋会館から近く、奨励会時代から聖さんはここでよく食事をとっていた。店主の妻、倉田紀美子さん(69)は聖さんについて「中学生の頃、師匠の森(信雄)さんに連れられてきたのが最初かなぁ。将棋界のすごい人なんて知らなかったけど、店を手伝ってた娘が同じ年でたまにおしゃべりしてましたよ」。

 聖さんのお気に入りは「ニラもやし炒め定食」(770円)。たっぷりの野菜と豚肉を、店主・倉田政男さん(76)が毎日手作りする秘伝タレで絡めている。自分でも作れそうだが、このおいしさは簡単には出せない。

 難病のネフローゼを患っていた聖さんは、皿を傾けてタレを残すようにしていた。「少しでも薄味にしようとしてたんやろね」と紀美子さん。「聖の青春」原作が出た2000(平成12)年頃から、ファンがポツポツと訪れるようになり、撮影前には主演の松山ケンイチ(32)、ライバル・羽生善治役の東出昌大(29)が妻の女優・杏(31)と一緒に訪れたという。

 同店は劇中に登場しており紀美子さんも出演。撮影場所として貸すだけと思っていたら、当日いきなり森義隆監督から「いつも通りにやって」と言われ出演することになった。

 更科食堂から徒歩で7~8分離れた所に聖さんが住んでいた「前田アパート」がある。狭い階段を2階へ上がり、4畳半ほどの部屋。小さな流し台がオモチャのよう。1階の自動車部品会社に勤める田中充さん(73)がアパート所有者に任されて見学希望者に部屋を見せてくれる。

 生前の聖さんをよく知る1人で「狭い部屋にコミック本がぎっしりやった。ファンの人が探して訪ねてこられます。この前も棋士を目指す小学生の男の子が母親と沖縄からやってきて、入り口で震えてしばらく入ることができなくてね」。映画の冒頭、アパートの前で倒れていた聖を車に乗せて将棋会館へ連れていく男性(中本賢)がおり、モデルとなったのが田中さんだ。

 聖さんが実際に過ごした場所がスクリーンでも舞台となり、「前田アパート→関西将棋会館→更科食堂」が“聖地巡礼”コースに。時を巻き戻し、在りし日の聖さんに会いたくなる。

 ◆更科食堂 大阪市福島区福島6の1の26。営業午前10時~午後3時、午後4時~9時。日祝休み。TEL06・6458・2213。JR福島駅すぐ。

 ◆前田アパート 大阪市北区大淀南3の4の17。

 ◆関西将棋会館 大阪市福島区福島6の3の11

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