美味!食べる温泉 女将特製お粥で健康に~信州・白骨温泉
今回は足を延ばして信州・白骨温泉へ。秘湯の宿「泡の湯」の女将、小日向(おびなた)眞紀子さん(60)が毎朝炊く白骨名物の温泉粥(がゆ)を味わった。上高地と乗鞍高原のちょうど中間辺りに位置し、山峡の風情が一層おいしさを引き立てる。温泉にひたるだけでなく、食べることで文字通り体の中も温まった。
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なみなみとたたえたミルク色のお湯。硫黄の匂いがいかにも体に効きそう。昔から「3日入れば3年風邪をひかない」と伝わり、湯治客も多く訪れた。首までつかってしまえば湯の中は見えないこともあり、泡の湯では広々と気持ちのいい混浴専用の露天風呂がある。女性は専用バスタオルを着用するので安心だ。
白骨温泉の名物、温泉粥は源泉をそのまま使って炊き上げる。小日向さんは「ずっと昔から普通にあり、病人食や寒い時期などに家庭で食べていたもので、お客さまにお出しするという発想はありませんでした」。
泡の湯旅館は創業104年。4代目女将・眞紀子さんの先代、母の光子さんが女将だった40年ほど前、長逗留(とうりゅう)の客らの要望でつくってみたところ、とても喜ばれたのがきっかけだ。
以来、他の宿でも出すようになり、いつしか白骨温泉の名物に。飲泉(飲む温泉)はよくあるが、温泉粥は“食べる温泉”。体の中から温まり、消化にも良い。現代人にうれしい健康食といえそうだ。「各宿で源泉が違うので、味も少し変わってきますが、うちのお粥は炭酸分が少し入って本当においしいですよ」
源泉のうまさに加えて女将は有田焼の土鍋を特注。「他の鍋とは全然味が違う」のだそう。底の方が厚くなっていて、鍋自体が熱くなりロウソクのようなとろ火で“渡し箸”をしながら、コトコトと1時間ほど。米は前夜から水に浸しておくことで、いっそうまろやかな食感になる。
湯豆腐やお総菜などと一緒に朝食に出された温泉粥はどーんと大盛り。おかわり自由。前夜の食事も信州サーモンの造り、黒毛和牛の石焼き、イワナの塩焼き、夏まつたけとハモの土瓶蒸しなどボリュームたっぷりだった。献立表にはない“女将の気まぐれ小鉢”も登場。
「気まぐれなのであったり、なかったり」だそうで、「きのこや大根を炒めたものなど作り置きのできるもの」が中心という。この日はほんのり甘く軟らかい「花豆」が。うれしいサプライズだった。
◆泡の湯旅館 長野県松本市安曇白骨温泉 1泊2食1人2万4840円(税サ込み)から。日帰り入浴あり。中学生以上820円(TEL0263・93・2101)
◆電車でのアクセス JR新大阪駅から同松本駅までは同名古屋駅を経由し、新幹線と特急ワイドビューしなので約3時間(9820円)。松本駅から松本電鉄上高地線新島々駅へ(700円)。同駅からバスで白骨温泉へ約70分(1450円)。11月15日まで松本駅から白骨直通バスが運行(1950円)。
◆バスでのアクセス 大阪から上高地へは直通バス「さわやか信州号」で約6時間半(通常期9000円)。アクセスなど、問い合わせは松本市山岳観光課まで(TEL0263・94・2307)※掲載した料金は変更の可能性があります。