北海道新幹線 津軽海峡は“新時代”へ

 青函トンネルに進入する北海道新幹線H5系
 龍飛崎から北海道を望む。この真下をぶち抜いて青函トンネルが通っている
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 3月26日に新青森~新函館北斗の北海道新幹線が開業し、初めて新幹線が津軽海峡を越えた。津軽半島最北端・龍飛崎をぶち抜く青函トンネルはあっという間に通り過ぎたが、青函連絡船や津軽海峡の深く長い歴史に思いをはせる旅になった。

 ◇   ◇

 新青森駅を出てから約15分。車内放送が流れた。「間もなく列車は青函トンネルに入ります-」。あっという間に車窓は暗闇の世界に。ゴーッと静かな走行音とともに、あっけなく北海道新幹線「はやぶさ5号」は海の底に潜り込んでいった。

 青函トンネル自体は88年3月13日に開業。津軽海峡線として寝台特急「北斗星」などの在来線が走っていた。全長53・85キロ。3月26日の北海道新幹線開業後は、夜には在来線の貨物列車が通り、新幹線(幅1435ミリ)と在来線(1069ミリ)の3本のレールが走る唯一の「3線軌条」トンネルだ。

 240メートル上は津軽海峡。青森側・津軽半島の最先端・龍飛崎には、いきなり2番から始まる「津軽海峡冬景色」の歌碑があるが、「竜飛崎よ どてっ腹を ぶちぬかれちゃったね」と吉田拓郎がかまやつひろしと唄った「竜飛崎」(74年7月発売「シンシア」のB面。バックバンドは「愛奴」で、ドラムは浜田省吾)も訪れる人の旅愁を誘う。作詞は岡本おさみ。「襟裳岬」で日本レコード大賞も取った名コンビの隠れた名曲だ。

 絶え間なく風が吹き、自然が厳しい龍飛崎には「秋にあじさいが咲くという」と拓郎は唄うが、龍飛岬観光案内所「龍飛館」の工藤さつき館長によれば、あじさいは7月の下旬に咲き始めて、花は秋を越えて冬まで残っているそうだ。

 「竜飛崎」が発売された74年は青函トンネル工事の真っ最中。完成まで約24年の工期で、のべ1400万人の工事関係者の努力と情熱が「竜飛崎のどてっ腹をぶちぬいて」津軽海峡を越えた。

 海峡の激しい荒波、吹き上げる風、海鳴り。龍飛崎から北海道を見渡す風景はどこか切なく身が引き締まる。新幹線で青函トンネルの通過時間は約20分程度だが、ここにたどり着くまでに費やしたた歴史の重さに感傷的になり、どてっ腹をぶち抜かれてしまった。

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