着物美人の特製きずし~大阪・天六
大阪・天六にある小料理屋「ことわ」の澤井佐智恵さん(43)は、「大阪の美人女将といえばこの人!?」と言いたいくらいだ。着物姿で軽やかに料理をする姿は何とも美しく、話せば気さくな“関西のオネーチャン”。一度行くと通い詰めたくなる気持ち、よーくわかります。
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取材日は偶然にも佐智恵さんの誕生日だった。夕方6時を過ぎた頃から、常連さんたちが花束やプレゼントを手に「さっちゃんおめでとう」と祝いにやってきた。
佐智恵さんは手際よく料理を並べていく。初めて立ち寄ったというサラリーマンや女性2人連れも加わりカウンターだけの10席はたちまち満席に。ビールは客自身が冷蔵庫から取り出し栓抜きで開ける。サッポロの「赤星」だが、特に阪神ファンが集まる店ではない。
つき出しは京都・長岡から取り寄せた豆腐。まろやかな甘みが広がる。人気の自家製きずし(680円)は“秘伝の味”だ。というのも、佐智恵さんの実家は元すし店で、その味を受け継いだ。
店を経営することの厳しさを見てきた佐智恵さんはアパレルメーカーに就職しその後外車のディーラーに転身する。しかし8年前、女将の店ばかりの飲食店街を作る「船場女将小路」という企画に応募したところ審査を通過、自分の店を持つことになった。
子どもの頃から店の手伝いをして育ってきた。「実家の手伝いは嫌で仕方がなかったんですけど、料理は大好きだし苦にならない。人生の転機ともいえる時期で、3月に会社を辞めて5月には開店していました」と振り返った。
この日並んだ手作りのお総菜は「いわしの炊いたん」「切り干し大根」「イカのガーリック炒め」「ぬた」などなど(300~380円)。野菜たっぷりの「犬鳴ポーク蒸し鍋」(1280円)は1人前から注文できる。
店名には「何事にも“ことわり”を入れる、道理をわきまえる」という意味が込められている。1年半前に現在の場所に移転し今年5月、オープン8周年を迎えた。船場時代から通っているという佐野芳造さん(67)は「どれも本当においしいよ。僕のおやじギャグはスルーされっぱなしやけどね」と笑う。「デイリースポーツさん?新聞持ってきたら、ビール1杯サービスなんてどう?」と佐智恵さんに提案してくれた。いちげんさんもすぐになじめる温かさに満ちている。
◆ことわ 大阪市北区天神橋6の2の15 幸福天六会館1F 地下鉄天神橋筋六丁目駅3番出口すぐ。TEL06・6357・5108。営業17~22時。日曜は16~20時。水曜定休。その他不定休あり。
