九州愛詰まった「或る列車」デビュー

 由布岳をバックに快走する「或る列車」。金色に輝く車体と豪華な内装とスイーツも自慢だ(JR九州提供)
 或る大地と海の恵み
 祝典のフィナーレ
3枚

 “幻の列車”にどうしても乗りたかった。8日から走り始めたJR九州「或る列車」は、九州各地から厳選された食材を利用した“超豪華スイーツ列車”だ。「ななつ星in九州」にも負けない装飾も話題。抽選ををくぐり抜け、執念で“プラチナ切符”をゲットした鉄っ娘記者が、83歳の祖母を引き連れ、勇躍“潜入”した。

 ◇   ◇

 九州愛の詰まった「或る列車」が、デビューした。九州産の食材や盛り付ける器、車内の装飾も九州の職人が手がけるこだわりようだ。

 14時20分頃、乗客が日田駅のホームへ向かう。前面の唐草模様が印象的な金色に輝く車体に「これが列車なの?」と祖母が驚く。豪華寝台列車「ななつ星in九州」と同様の装飾が至る所に見られる。多様なロゴマークも可愛らしい。予約した2号車は、全席個室。福岡・大川の組子をはじめ、細かなデザインが施されており、まるで美術館だ。

 「シェフも立ち会って生産者に交渉した」と、JR九州営業部の松藤泰代さんがこだわりを主張する食材も、この列車の大きな魅力だ。料理は世界的に有名なシェフ・成澤由浩氏が監修している。

 1品目の「NARISAWA“bento”」は、列車をイメージして製作された弁当箱を使用。一本の木をくり抜いて作られており、手に取るたびに心地よい。野菜を中心に大分名産の豊後牛や関アジも味わえ、これだけで満腹になりそうだった。

 しかし、スイーツは“別腹”。祖母も手を休めることなく、“オール九州”で構成されたスイーツ4品をペロリと完食。「トロピカルバケーション」と題されたメーンスイーツは、2つの甘さが一皿で味わえる。宮崎産のマンゴーやライチなどの果物本来の甘さを、さわやかなココナッツケーキが引き立てる。それぞれオリジナルの器に盛りつけられ、出てくるたびにワクワクさせてくれた。

 途中の豊後森では「ななつ星」、恵良では「ゆふいんの森」と行き違うなど、久大本線の車窓も見どころが多く“忙しい”2時間半だった。乗車前はやや高いと感じた、2人で4万3千円の料金も、これだけの内容なら大満足だ。11月からは長崎コースを走る。季節やコースによってメニューが変わり、長崎での運行後はどの区間にも走る可能性があるとのこと。今後の発表に注目だ。

 数日後、「夢みたい」と繰り返していた祖母から手紙が届いた。「近所や親戚に自慢してまわった」とすっかり“鉄婆”になったもよう。極上のスイーツと祖母の笑顔に、いい“おばあちゃん孝行”になった「或る列車」の旅だった。

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