160円で!2府4県12時間33分の旅

 大阪駅発160円区間の切符
 加茂駅停車中のキハ120系
2枚

 大阪~新大阪間、通常なら所要時間は約3分だが、“裏ワザ”を使えば、まる半日列車の旅を楽しめることはご存じだろうか。ルールをしっかり守って、2府4県、489・9キロ、12時間33分乗り倒しても料金は同じ160円「大回りの旅」に出かけた。

・改札口から出ない

・乗車経路を重複しない

・同じ駅を2度通らない

・左図の近郊区間の発着で、その外に出ない

・1日で旅程を終える

 以上のルールを守れば、隣の駅に行くのにどんなルートを使ってもOK。“乗り鉄”なら誰でも知ってる「大回り」の旅は「紀州路快速」から始まった。

 日根野を過ぎたあたりから、トンネルが多くなり旅情が増していく。和歌山駅ホームの駅そば店で腹ごしらえ。注文したラーメンはスープも濃いしょうゆ味でちゃんと“ご当地系”で410円とお得感満載だった。

 和歌山からは“国鉄型”105系に揺られて奈良へ。製造から30年以上も経過している車両はモーター音が薄っぺらいロングシートから直接腹に響く。天井の扇風機が回りだし“昭和”を感じさせる。

 途中車内検札があった。160円の切符を「大回りしてます」とちょっと緊張しながら車掌さんに見せると、熟知しているのか「改札を出ないようにしてくださいね」と注意されただけだった。

 加茂からは関西本線の非電化区間。ディーゼルカーで柘植を目指す。2両編成の車内にはなぜか外国人旅行者が目立つ。それもタイ人が多い。隣席のタイ女性がスマホで忍者の画面を見せてくれた。伊賀上野にある忍者屋敷にいくのだという。

 旅を続けていくと、乗換駅で何人か見かけた顔に会う。どうやら私以外にも「大回り」をやっている“同士”がいるようだ。軽い会釈をして互いに干渉はしない。“鉄ちゃん”ならではの人見知り、いやいや礼儀である。

 米原から北陸本線で北上。曇天から夕陽の光が琵琶湖にかかり湖面がきらきら輝く。近江塩津では突然の豪雨に見舞われ、地中のわずかな通路で過ごす。

 20時37分、新大阪着。改札口で保存用に切符を欲しいと告げると、「お疲れ様でした!」と、若い女性駅員が乗車記念のハンコを押して、優しい笑顔で渡してくれた。489・9キロ。12時間33分の旅が報われた気がした。

 ルールさえ守れば「大回り」はいくらでもできる。次の休み、あなたもいかがですか?乗り疲れてちょっとお尻が痛くなりますが…。

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