二番を思い出せない世界
【9月9日】
甲子園球場のある西宮市で朝から大雨警報が出ていた。ほかにも強風、土砂災害、波浪など注意報も…。西宮で暮らしているのでゲーム開催の日は特に空模様が気になってしまう。
ところで、気象庁は警報と注意報の差、危険水準をどこの線で区切っているのだろうか。この雨、警報やろ?と思っても注意報だったり…そんなことってありません?子どもたちにとっては、休校になる警報と、ならない注意報の差はデカいのに…。
一方、オトナにとっては警報が出ようが出まいが関係ない。朝方から強雨でも甲子園へ来て、こうやって記者席で試合を見ているわけだが…ここにきて様々な「差」が気になってきた。
巨人とのゲーム差はもちろん、残り試合数が減れば、各部門タイトル争いする好敵手との差も気になってくる。
さて…スコアボードの球団旗が揺れない無風の甲子園で高橋遥人が粘った。雨上がりの悪条件。打たれてもゼロでいけ。そんな感情が募るのは、言うまでもなく彼の初タイトルがかかっているからだ。防御率、勝ち星、勝率…なんでもいい。二番じゃなく、一番に…。だって、その差はデカいから。
藤川球児は07年に初めて最多セーブのタイトルを獲ったわけだが、では、その年の2位は?球児本人は忘れないだろうし、その人、岩瀬仁紀は偉大だけど、世間はあまり覚えていない。
そんなことない?
じゃ、球児が2度目の最多セーブに輝いた11年の2着は?
この年も岩瀬。両者の時代であったことはみんな記憶するが、最終的に一番を獲るか、二番に甘んじるか、その差はとてつもなくデカい世界だ。
逆に、たとえば球児がタイトルに届かなかった08年のセーブ王は?
M・クルーン。すぐ出てくる。球児の2年連続セーブ王を阻んだヤツだから、そういう意味でも忘れられない。
タイトルといえば…相手ベンチを眺めると、向かって左端に座る背番号25は、現役時代に2度タイトルに輝いている。ひとつが阪神時代の11年に獲った打点王。ちなみに新井はあのシーズン、誰と打点王を争ったのか。職業柄覚えておくべきだけど、ごめんなさい…それがカープの栗原健太だったことはカンニングで思い出した。そして、もうひとつが、今アイブラック兄弟が競っているホームランのタイトルだ。
最終回に森下翔太がよく打った。意地の一発は必ず次に繋がる。
10年後、20年後、プロ野球ファンは26年のホームラン争いで2着だった打者を覚えているだろうか。虎党は忘れないかもしれないが、世間の記憶、球史にその名を残すか、残せないか、プロ野球に身を置く以上、強く、激しくそれにこだわるのは当然のこと。
先月だったか、ヒーローインタビューで輝との競争について聞かれた森下が「勝つ気でいます」と語ったことは実に気持ちよかった。輝だって同じ。森下に勝つ自信は?と、マイクを向けられると「勝つつもりでやります」。どこかでそう語っていた。勝って一番に…。虎も、その戦士も。=敬称略=
