結束が強まる本気の熱量

 【7月19日】

 試合の後、カープ監督の新井貴浩は言った。「本当に申し訳ないという言葉しか出てこない」。3番手ハーンが大山悠輔にぶつけた死球について、ただただ謝罪の念で唇をかんでいた。

 八回に審判から「警告試合」が宣告されたC-Tの第3ラウンドだけど、ぶつけたハーンは前日、佐藤輝明へも胸元へすっぽ抜けた「危険球」を投じていた。さすがに一触即発の空気が漂ったが、ただ、この助っ人の「やってしまった」という態度を見ていると、意図的には見えない。強打者に対峙すると力みまくるのだろう。とはいえ、この人の150キロ超を当てられた側はたまらない。故意でなくとも「死球合戦」の誘発はもうごめんだ。 

 それにしても、佐藤輝明の決勝打は圧巻だった。前夜は例の「ブラッシュボール」のあと三振を喫し、ベンチへ戻ってからも激情を隠さなかったが、この夜はとてもクールだった。走者一掃の一打を振り返れば、ハーンとの勝負は3球で追い込まれた。タイミングが合ってなさそうにも映ったが、1-2からの4球目、ラストスイングは外の直球をコンパクトに仕留めたもの。3球目までとのギャップに思わず「えぐい…」と声が出てしまった。

 「いろいろありますけど、勝って黙らせるしかないので…」

 4カード連続勝ち越しの立役者はヒーローマイクでそんなふうに語り、敵地の歓声を独り占めにした。発言の真意は僕には分からないけれど、この熱量、本気度がファンを酔わせるのだ。

 逆に言えば、それがない戦いは例え世界最高峰の舞台でも酔えない。

 この日、本田圭佑がXに投稿したつぶやきに共感した。

 「W杯の3位決定戦はなくしたほうがいいかもね」

 19日早朝に行われたW杯の「3決」はイングランドがフランスに打ち勝った。スコアは6-4。殴り合いのゴールシーンを10回も見られて「おもしろかった」という人には申し訳ないが、4年に1度、決勝前のゲームを見た後に思う。「もう、やめようよ」と。

 フランスは準決勝から先発を7人入れ替えて臨み、イングランドはケインやベリンガムら主軸を欠場させるなど大半を変更した。親善試合の色濃いゲームに「本気」を求めても詮無いことだ。フランス代表は「結束」を損なうベンチ裏の確執まで報道されたが、これではベスト4の功績も台無しだ。

 それはそうと、輝がお立ち台で強調した阪神の「一体感」を書けば、初回にも見えた。秋山の二遊間のゴロを熊谷敬宥が捕り切れずEランプが灯った。低めの制球でゴロを打たせた村上-坂本のバッテリーに非はない。ややもすればガクッとくる場面だけど、そのあと、4番の坂倉をきっちり三振に斬ってカバーしてみせた。これぞエース。ギアを入れて熊谷を救ったことで一体感が強まり、熊谷も今度はオレが…の気持ちになる。これぞ「チーム」である。坂本誠志郎の一発も称えた指揮官の藤川球児は「自分の中ではベストゲーム」と言った。猛虎が加速する予感が漂う。=敬称略=

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