追随を許さないために
【6月9日】
補強にばかり頼り、生え抜きを育てられなかった猛虎。でも、今は違う。投打に充実したこんにちの陣容は、おそらく向こう数年は他球団の追随を許さない。かつての赤ヘルのように-。
3年前の秋。デイリースポーツにそんな風な原稿が載っていた。
23年の日本一に酔いしれながら読んだ覚えがある。と、同時に「むこう数年」の「数年」がどれくらいの尺をさすのか。巨人軍のV9はもはや漫画の世界だけど、近年のプロ野球をみればマックス3連覇がいいところ。じゃあ、あのころ無双だった虎も翌年は…
2連覇もできなかった。よりによってGの追随を許し…。
そうだ、24年は阿部巨人が日本シリーズへ?いや、強虎を蹴散らしておきながら伏兵に下克上を食らった。そうだった。3位から日本シリーズへ、そして4勝2敗でホークスを…。あっぱれベイスターズ。
ん?そもそも、巨人の前にどこかの球団もベイに簒奪を食らった?リーグ2位でも監督が交代した史実は奥歯でずっと噛みしめなければ前進はない。
さて、この夜の福岡はどえらい花火大会になってしまった。
え?あなた、今シーズン1号?久々のスタメン?打率1割台?そんな男がこんなに飛ばしますか?
ホークスの7番打者、野村勇だ。
外の151キロ。見送ればボール球
を初球から振り抜いて左中間スタンドまでもっていく。こんな打者、セ・リーグにはなかなか…。
ああ、そうですか…。また、初球いきますか。才木浩人の速球をあそこまでもっていくのだから、そりゃ今度は曲がり球から入る。が、野村は読んでいた。初球、絶対、変化球。読み切ったように椎葉剛のスライダーをフルスイングされてしまった。また左翼スタンドへ、2打席連続の初球弾。四回で0-6。火曜からこれはキツい。
2日連続の雨天スライドは、やはり影響があったか。食堂に設けられた会見場にあらわれた藤川球児は「才木の状態」を問われ、こう言った。
「状態どうこうはないと思います。それを言っていると、野球選手の本質じゃなくなるというか…」
指揮官の言いたいことは痛いほど伝わってきた。
「野村の一発」といえば、昨秋の衝撃だ。日本シリーズ第5戦。阪神2点リードの八回に柳田悠岐に2ランを浴び、迎えた延長十一回。甲子園球場のライトスタンドへ、神戸出身の彼に日本一を決められた。虎党の野村に対するイメージは…書くまでもないか。
2年前、セ・リーグの優勝候補はなぜ連覇を逸したのか。要因が一つに限定されるものではない。ただ、ひとつ言えること、それは…いや、やめておく。セ界で「追随を許さない姿」に再び回帰させてくれて感謝。誰に?藤川球児に決まっている。今年こそ連…そして、できればここで雪辱を。そのためにやらなければいけないことは?
福岡で衝撃の花火を見上げたことは
秋への堆肥になる。=敬称略=
