打倒DeNAの戦略班
【4月22日】
このシフトはデータじゃない。セオリーだ。そう思いながら見ていると、打球はライトへ飛んだ。もらった…。思わず声が出た。が、ライト森下翔太のバックホームはそれてしまった。
八回の守りだ。2死一、二塁のピンチで阪神の内野は二遊間を絞って守っていた。言うまでもなくセンターへ抜ける確率を下げるためである。そこでベイスターズ勝又温史の打球が前進守備のライトへ飛んだまでは良かったが、そうそう、うまくはいかない。結果的にこれが決勝点となり、マウンドのR・ドリスは天を仰いだ。
試合後、藤川球児は虎番の取材に応じてこんなふうに語った。
「全部が全部、良い方向には…。ギリギリの勝負ですから、毎日。でも、粘り強い戦いをしていく」
その通りだと思う。6-7の敗戦は攻めても守っても、どこを切り取っても、まさにギリギリのゲームだった。
悔しさが募るギリギリは、やはり同点の八回、2死満塁の逸機だろうか。代打前川右京の打球がショート京田陽太のジャンプ一番でギリギリ阻まれたわけだが、京田は「トバさんのリードを見ながら(打球が)こっちへくるかなと。トバさんのおかげ」と語っていた。捕手戸柱恭孝の配球を見ながらポジショニングと一歩目を決める、その成果は守っている本人が一番よく分かる。野球ファンとして唸らされるわけだが、データ重視の近年だから余計に染みいる。敵味方、関係なく。
それはそうと、前夜一塁ベンチにいたアナリストがこの日は一度も姿を見せなかった。不気味だけど、まさか居場所を聞くわけにもいかない。
DeNAのアナリスト田上健一である。昨年のオフ、データ野球の先駆球団からオファーを受け、「戦略部クオリティーコントロールグループ」に招かれた田上はご存じ、阪神OBだ。
田上のことは2月に書いた。戦略部の彼がペラペラ語るわけがないが、あのとき当欄でこんなふうに記した。
【田上の加入でベイスターズは脅威になる】
田上は09年に育成ドラフト2位で阪神に入団し、15年まで在籍した。引退後は多分野で研鑽を積み、昨年は四国アイランドリーグplus愛媛のコーチとして独立リーグ日本一を達成。愛媛の盗塁数を「153」まで引き上げた手腕はNPBにも広まっていた。
さて、プロ2度目の先発となった茨木秀俊はもうDeNAの戦略部によって丸裸にされていただろうか。2番手の石黒佑弥も同じくそうだったか。
踏ん張れ。祈るように眺めたのは同点の六回、1死一、三塁のピンチを迎えた石黒だ。あそこで坂本誠志郎の構えたミットに投げ切れなかったのは本人も悔いているはず。代打宮崎敏郎に対し、坂本はおそらく詰まらせるために内角直球を要求したが、投げたのは真ん中高め。甘いボールを外野へ運ばれ(犠飛)、勝ち越しを許した。これぞ、ギリギリを乗り越える道中か。戦略班を打破した大山悠輔の2発に勇気を貰い、次戦へ向かう。=敬称略=
