もう一つの「強さの根源」

 【4月20日】

 ほっともっとフィールド神戸で大学野球を観てきた。目当ては今秋のドラフト候補たち。上位候補だけでなく、中、下位の好素材としてどうか。そんな視点で眺めてもおもしろい。

 第3節を迎えた関西学生野球春季リーグの2試合、そのバックネット裏に各球団のスカウト陣も来ていた。もちろん、阪神タイガースの陣も。

 とりわけ立命大の有馬伽久(4年)や関大の米沢友翔(4年)ら即戦力として期待される左腕に熱視線を送っていたとみられるが、彼らの世代を1年生から見ている同リーグの関係者と様々話をすれば、ほかにも将来性豊かな素材が見えてくる。

 近年、猛虎のドラフト戦略は各所で絶賛されている。「阪神さん、素晴らしいですね」と、まるで僕が尽力したかのようにお褒めの言葉が飛んでくるが、その成果の源泉はあらためて書くまでもない。これは偏(ひとえ)にフロントによる慇懃な計略と、スカウト陣の慧眼、労を厭わないフットワークによるところが大きい。

 開幕から20試合、藤川阪神が26年の立ち上がりをうまく滑り出した一方で

既に秋を見据える球団の戦略ユニットは全国各地で目を光らせている。アマスカウト部長の竹内孝行をはじめとする阪神のスカウト陣は、アマチュア素材の何を見るのか。多方からよく聞かれるが、そんなの、僕が知りたい。何に惹かれ、逆に、何を避けるのか。

 毎年、勝手にノートに秋のドラフト候補者をたくさん記しているが、取材の限り、もったいない選手もいる。例えば強豪校出身の好素材でも、まずもって団体競技に向かない性分…つまり、私欲、利己性が前面に出てしまう者はポテンシャル以前に△印がついてしまう。才能を買われ大学や社会人に進んでも奔放が過ぎれば…そんな巷談はスカウト陣は必ず掴んでいるし、確度の高い情報を報告するスキルも阪神の陣は長けている。プロを夢見るならば

お前さん…そんな節介を焼きたくもなってみたり。

 そういう意味では、先述した関大の米沢友翔は潜在性もさることながら、人格の素晴らしさも耳にする。後輩思いであり、献身性、努力する才能も聞こえてくる。今春、首位の関大をけん引する彼をこの先も追ってみたい。

 それにしても阪神の「ドラフトの強さ」は、佐藤輝明や立石正広の獲得で見られたように「クジの強さ」も際立つわけだが、これ、偶然ではないように思う。この運気を運んでいるのは、球団本部長の嶌村聡が旗頭となる「野球振興」にほかならない…と書けば美談っぽくなるが、真摯に、たゆまず推進する阪神に「野球の神様」がほほ笑んでいるのでは?と、僕は見ている。

 25年に生まれた子どもの数は前年比2・1%減だという。10年連続で過去最少を更新し、国の推計より17年も早いペースで少子化が進む中では、野球人口減少に歯止めがかからない。が、阪神球団はあきらめない。オール阪神で徳を積む利他の精神が、ドラフト、そして、ペナントレースでの波動に繋がっている気がする。=敬称略=

編集者のオススメ記事

吉田風取材ノート最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス