S・ヤング賞左腕の離脱に思う

 【3月12日】

 日本サッカー協会やJリーグにプロ野球ファンが多いという話をここで書いたことがある。僕がサッカー担当をしていた頃の話だけど、その一人から数年ぶりに連絡があった。

 かつて、サッカー日本代表チームの取材中に「阪神勝ちました?」なんて聞かれたりもした。今回のWBCに注目しているサッカー関係者も少なくないというが、在京Jクラブ関係者の彼は少し不満げに言うのだ。

 「今大会は、大谷選手、本当に投げないんですか?風さんも以前コラムで書いていましたけど、私もWBCが歴史ある世界選手権となって、真の世界一を決める権威になってほしいです」

 もちろん様々な事情があることを知りながら続ける。

 「前回大会のファイナルの印象が強いだけに、大谷さんが投げないのはファンとしては残念。アメリカの報道も日本の報道も気に入らないですし…」

 この方の言う「アメリカの報道」とは、米国のポッドキャスト番組でMLBの大物OBが語ったこんなくだり。

 「日本(代表)はドジャースの指揮下にあるからね」

 実にアメリカテイストだが、取りようによってはカチンとくるか…。

 また「日本の報道」を気に入らない理由は「WBCの大会の立て付け、他競技の世界大会では考えにくいオトナの事情を少しでも問題提起するテレビや新聞がないでしょ」と手厳しい。

 オトナの事情…今大会で例えれば、米国代表の左腕タリク・スクバルが大会中に代表チームを離れたことも少年少女に説明するのはなかなか難しい。24、25年のサイ・ヤング投手は1次リーグの登板を終えて所属するデトロイト・タイガースのキャンプベースへ帰ったわけだが、これはレギュラーシーズンへの調整を優先するため。当のスクバルは「アメリカが好き。(代表離脱を)悩んで眠れなかった」と漏らしていただけにスッキリしない。

 サッカーで例えるなら?

 分かりやすくいえば、リオネル・メッシがクラブを優先してW杯のさなかアルゼンチン代表チームを離れるようなものだろうか。FIFAのW杯ではあり得ないが、WBCの場合、祖国の代表に選ばれても、球団との契約、保険諸々…所属チームと代理人それぞれの利害、ビジネスも絡めば大会出場に制限がかかることは珍しくない。

 米国に於いて「WBC>MLB」とならない限り、この問題が解消される日は永久にこないわけだ。知人のJリーグ関係者のモヤモヤ感も分かるが、次回大会までにこれらが解消されるかといわれれば、残念ながら…。WBCイヤーに於いてMLBの運営にかかわるすべてにウルトラCでもない限り。

 オトナの事情による辞退や離脱のない世界大会を確かに見たい。今回アーロン・ジャッジが米国の威信にかけて主将に名乗り出たように、すべてを覆す可能性があるとすれば、野球ナショナリズムの更なる高揚か。各国のベンチ、その熱狂を見て感じる。米国をまるごとシリアスにさせるためにも、侍の連覇に期待したい。=敬称略=

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