中村悠平が言う大谷マインド

 浦添キャンプで中村悠平に会ってきた(撮影は筆者)
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 【2月9日】

 間もなく代表合宿へ向かう侍捕手は元気だ。ハツラツと投内連係で声を出した後、ブルペンへ足を運び精力的にボールを受けていた。この男がいるだけで場が沈着する。不思議なものだ。

 東京ヤクルトのキャンプベース浦添で「世界一捕手」に会ってきた。

 あらためて侍ジャパン選出を祝えば中村悠平は笑みを浮かべながら「ドキドキしました」。偽らざる本音を明かしてくれた。前回WBCでは「胴上げ捕手」として大谷翔平と抱き合い「時の人」にもなったが、今回は侍3捕手でラスト招集。こちらもドキドキしながら朗報を待っていた。

 「いてくれると助かる。すごくありがたい」。日本代表監督の井端弘和は中村の選出理由をそう語っていたが、実はこの感情を井端以上に抱いていたのは、坂本誠志郎かもしれない。

 坂本「本当、良かったです」

 中村「また頑張ろうな」

 発表直後に二人でそんなやりとりがあったそうだ。中村は言う。

 「誠志郎が先に選ばれたので、誠志郎、いいなって…」

 日の丸と世界一の重みを知るからこそ、もう一度、あの舞台へ戻りたい。そんな気概を携えてオフを過ごしていた。もう時効だから書くけれど、本人に聞いたことがある。大願を叶えた前回大会の直後、中村はいわゆるバーンアウトのマインドに陥ってしまった。極限の重圧と、セルフリセットの難しさはあの舞台に立った者にしか分からない。これは彼に限らない。同じように「燃え尽き」を経験した侍戦士を過去に何人か知っている。だから、この日あえて聞いてみた。「世界一」の先人だから話せる心構えを。

 「前回はヤクルトでリーグ優勝した後に世界一。トントントンと行き過ぎたんですよ。マックスまで本当に上り詰めちゃって。今回は(ヤクルトで)最下位からのWBCでしょ。もちろん(WBCの)結果は分からないですけど、燃え尽きることはないと思うんです。逆にまたそこからさらにWBCがモチベーションとなってシーズンへ向かっていけそうな気がしているので。そこは大きな差がありますね」

 中村はヤクルトでも日本代表でも野手最年長の35歳。しかし、練習を見る限り若々しいし、間近で話をすれば肌と声に艶を感じる。もちろん、それを言うなら宜野座で調整する阪神の侍戦士も元気だ。気の早い僕はもう4月の心配をしてしまう。そういう意味では昨季リーグ制覇した阪神の侍選手にとっては幸甚な話を中村がしてくれた。

 「僕の場合、気持ちばっかり先にいっちゃうといけないので、そこはセーブしながら…。抑えるところは抑えてやるときはやるっていう…。ある選手の言葉を借りれば『ギリギリのところを攻める…』っていうね」 

 ある選手…。え~っと…。

 「大谷翔平ですよ」 

 ああ…。これだ。

 「健康でプレーするのが一番。かと言って安全にいってたら伸びるものも伸びなかったりする。どれぐらいギリギリを攻められるか」-。=敬称略=

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