DeNAの戦略部がこわい

 宜野湾で再会したDeNAのアナリスト田上健一さん
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 【2月7日】

 DeNAキャンプにお邪魔した。宜野湾の海風が肌寒い朝、会いたかった人に会えた。室内練習場でウオーミングアップするベイスターズナインを眺めていると、遠くで手を振る男…

 ベイスターズ入団、おめでとう。

 そう声を掛ければ、田上健一は目じりを下げて「ありがとうございます」と笑った。虎党は覚えているはずだ。09年に育成ドラフト2位で阪神に入団し、15年まで在籍した韋駄天を…。引退後は様々経験値を重ね、昨年は四国アイランドリーグplus愛媛のコーチとして独立リーグ日本一を達成。愛媛の盗塁数を脅威的な「153」まで伸ばした手腕を高く評価され、NPBの複数球団からオファーが届いた。

 晴れてDeNA入団が決まった彼は宜野湾キャンプで充実の日々を過ごしている。なぜ会いたかったかといえば配置されたセクションに興味があったからだ。「戦略部クオリティーコントロールグループ」…といえば聞き慣れないけれど、他球団におけるスコアラーと呼ばれる部門。田上の加入でベイスターズは脅威になる。僕はそう思っている。おいおい、DeNA打線の破壊力は分かるけど、誰が走れるんだ?

 そんなギモンをぶつけられれば、田上の尽力を書くしかない。愛媛の盗塁数を劇的に増やした彼の献身度は想像を絶する。藤川阪神の連覇を願う僕は田上がこわい。なぜって愛媛の選手が昨年どんなデータを携え走っていたか、ほんの少し、聞いたからだ。特筆すべきは、愛媛に飛び抜けた快足がいなかったこと。田上がときには完徹で試合映像と向き合い、他球団の投手陣を丸裸にしていたことをチーム内で知らない者はいなかった。その執念たるや敵陣にとっては威迫でしかない。

 DeNAアナリストの田上は言う。

 「ウチは打つ能力が高いチームなので、そこに緻密さが加われば…」

 含みのあるコメント…。秋に伏線回収されそうで心地が良くない。

 彼は藤浪晋太郎ともよくコミュニケーションを取っている。

 「頭がいいし、向上心もある。『どういうときに盗塁しやすいですか?』とか、走者目線もよく聞いてきます」

 そう語る田上に手を振り、午後から宜野座へ向かった。阪神のシート打撃を眺めれば、オイシックス出身の長身右腕が喝采を浴びていた。新人ながら実に堂々としていたのは能登嵩都。打者5人を無安打。いいものを見させてもらった。が、24歳はここから山峡を越えなければならない。田上のようなアナリストから丸裸にされてなお仁王立ちするべく、難所をいくつも経験して…。そういえば、愛媛を押し上げた田上が言っていた。

 「独立リーグを経験した選手は強いですよ。宿舎も移動も食事もボールも…みんなこれ(NPBの環境)が当たり前だと思ってないですから」

 ハヤテやオイシックス、NPBのマイナーに加入する球団も同じようなもの…田上はそう聞いていたそうだ。

 宜野座で藤川球児から声を掛けられ深々とお辞儀する能登の背中に感謝と反骨の魂が滲んで見えた。=敬称略=

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