クマにやられたキクが言う

 静岡での自主トレで菊池(左)とノックを受ける熊谷=12日
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 ダイヤモンド富士の聖地田貫湖まで車で1時間ほど。思ったより遠い。拝めるのは4月か8月というからそもそも時季はずれ。カネを払ってでも見たい絶景だからいつかまた静岡へ…

 東海道線の清水駅でそんなことを思いながら庵原球場へ向かった。降雪が酷ければ新幹線が止まるか…。悪天予報で躊躇したけれど、来てよかった。

 これぞカネを払ってでも見たいダイヤモンドの絶景だ。磨かれた4つのベース、整然とならされた黒土のグラウンドにピンと張り詰めた静寂が漂う。

 菊池涼介、矢野雅哉、そして、熊谷敬宥…。彼らのグラブが芯を食う音は字で表現できないほど心地よい。筆者が高校球児なら入場料を払う。そんな圧巻のノックを拝ませてもらった。

 「チーム菊池」の自主トレ公開にお邪魔した。35歳の名手に新年の挨拶をしたかった。もちろん、熊谷の決意も聞きたかった。

 熊谷がここに「弟子入り志願」したのは22年だから、はや5年。菊池に弟分の成長を聞いてみると、苦笑交じりに、しかし愉しそうに語ってくれた。

 「あのね、風さん、去年見てました?僕の打球、結構クマにファインプレーされてるんですよ。『あぁ、クマにやられた』って。本人に直接伝えましたけど…。いいとこ守ってるんですよね。悔しかったけど、なんかうれしい部分も僕の中にあって…」

 ヒットを2本も3本も阻まれれば給料にかかわる?そんなやらしい話は別にして、寝食を共にする自主トレ中は「ぶっちゃけトーク」もするだろう。だから熊谷に聞いてみた。

 師匠が手放しで称えていたけれど、静岡に来て直接褒められた?

 「『よかったな。年俸も上がったしな』って言われました」

 プロはお金の話も大事だ。来季の年俸は1100万アップの推定3000万。師を心酔する熊谷は「この自主トレがなければ僕的にはここまでやれていない…」と、恭しく感謝する。

 ほかには何も? 

 「やっぱり後半に打てなかった時のことも言われたりしました。今年活躍することで菊池さんも喜んでくれると思う。去年だけでは多分まだまだ…」 ここで熊谷が言う「結果」とはバッティングのこと。昨年は遊撃のほかに三塁、中堅、左翼と4つの守備位置に就き「無失策」。そんな男が打の株も上げれば鬼に金棒になるわけだ。

 「結果」といえば、カープは監督の新井貴浩が開幕からのレギュラー構想について「(全員が)結果でものを言ってほしい」と語っていた。これについて菊池はどう考えているのか。

 「結果というのは打撃。オープン戦で守備率は見ないと思いますから」

 確かに3月の守備率が良い順にレギュラーを決めるチームはない。が、筆者は思う。熊谷がそうであるように、ヒット1本を奪う守備力は立派過ぎる「結果」。仮に投手投票でレギュラーを決めるなら、菊池も熊谷も支持率は文句なしだろう。それにしても…「チーム菊池」のノック、そのダイヤモンドはずっと見ていられる。=敬称略=

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