劇場版『コナン』に学ぶ
【5月12日】
劇場版『名探偵コナン』の最新作を見た。最寄りの映画館「阪急西宮ガーデンズTOHOシネマズ」は盛況で、こども達や若いカップル、僕のような年代の方も大勢来場していた。
『名探偵コナン 隻眼の残像』-。
隻眼(せきがん)…つまり「片側の目を失った」刑事が最後に両眼で見た犯人の残像(フラッシュバック)がタイトルになっているわけだが、これ、オトナが愉しむ映画だと僕は感じる。 恋人を死に追いやった者の量刑を軽くする司法取引、それを強化する改正法案の可決を阻止するべく政府を脅迫していた犯人が実は警察内部に…。天文台のパラボラアンテナを駆使し、衛星情報を傍受して得た情報で…。そんなストーリーの対象年齢はどう考えても園児や児童のそれではないし、もっといえば、今作のキーマン諸伏高明が何度か引用する中国の故事成語はオトナでも「ん……」と、唸ってしまうものが多い。中でも印象的で、僕の心に留まったそれを挙げれば…
①「一飯の徳も必ず償い、睚眥(がいさい)の怨みも必ず報ゆ」
②「地を知り、天を知れば、勝すなわち全うすべし」
③「晋の予譲、身に漆し、炭を呑むがごとし」
④「兵は詭道なり」
個人的に好きな①は『史記』範雎蔡澤列伝の言葉で「恩には必ず礼で。僅かな怨みでも復讐で返す」という意……「怖いって!」といわれそうだが、自分の性分もそんな感じだ。
さて、我らが藤川阪神はこの日、空路で新潟入りした。
新潟で思い出すのは09年の7月である。「HARD OFF ECOスタジアム」のこけら落としゲーム「阪神対広島」を取材したのだが、これがとんでもない「草野球」になった。
雨中で5失策。1-8で敗れ、越後の虎党をがっかりさせたわけだが、試合の内容以上によく覚えているのは、「この大敗は準備の差」だと、当時の評論家諸氏から断罪されたことだ。
こけら落とし-つまり、選手全員が初めてプレーする新球場だったが、阪神は試合前日の移動日に現地で練習を行わず、一方のカープは全体練習して翌日の試合に備えていたのだと…。負ければ何とでも言われる世界。だが、もしかしたら一理あったのかもしれない……。コナン映画の故事成語でいえば、②だろうか。
「状況をよくよく分析し、地形と天候を利用することができれば勝利は揺るぎない」-。孫子の兵法である。
12年の新潟(広島戦)で09年の屈辱を晴らしたかっこうの猛虎だけど、さて本日、開場16年の新潟で藤川阪神はどんな戦いを見せてくれるだろうか。
③は史記の『予譲伝』で「やり返すためにはどんな苦しみや苦労も厭わない」意だけれど、そんな決意でこの一戦に臨む者もいるかもしれない。
そして④は「戦争とは欺く道」と説いた孫子の言葉。戦いには騙し合いも要るんだ、と。シーズン36試合目だから、はや四半。新潟の虎党に球児の兵法を楽しんでもらいたい。=敬称略=
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