宜野座カーブを想いながら
【4月6日】
やったぜ、宜野座!
優勝、おめでとう!
春季高校野球沖縄大会を21年ぶりに宜野座高校が制した。藤川阪神にとって朗報だし、僕も勝手に喜んでいる。
歓喜から一夜明けたこの日、興南との決勝戦でタイムリーを放った仲栄真優哉と話をする機会があった。
「皆、仲が良くて、繋がりが強くて…。一つになれたことだと思います」
なんで勝てたん?直球で聞けば彼はそんなふうに答えてくれた。
野球部のグラウンドが阪神キャンプ地の真隣だから、キャンプ中はちょくちょく仕事場を離れて宜野座ナインの練習をのぞきに行った。毎回、監督さんが誰よりも早く来てグラウンド整備をしていた。部員はみんな宜野座村で生まれ育ち、小、中学の軟式あがり。
今年はいけそう?そう問うと…
「絶対、甲子園行きます」
その節は…。宜野座高のみんな、関西弁のおっさんに丁寧に応じてくれてありがとう。この3年間、ワケあってみっちり高校野球に携わっていたものだから、宜野座ナインの練習を我が子のそれのように眺めた。全員が強いライナー性を意識するロングティー、バントに割く時間の多さにも目を引かれた。ブルペンは迫力があったし、主戦の子は素晴らしい直球を投げていた。
宜野座といえば21世紀枠で出場した01年センバツの「旋風」が懐かしいけれど、あの大会で「4強」の原動力となったのがエース比嘉裕の魔球。バッタバッタと三振の山を築いたいわゆる「宜野座カーブ」である。あの魔球がなければ宜野座を全国区に押し上げることもなかっただけに、腕を外旋して投じる「魔球の投げ方」の取材も多かったそうだが、あれから24年…。今、あの独特なカーブを投げる投手は宜野座にいない。聞けば習得が難しいそうだけど、魔球抜きでも先人の伝統を継承する新宜野座旋風に期待したい。
「カーブ」は投げなかった-。こちら巨人戦でプロ初勝利を挙げた門別啓人である。宜野座の優勝にあやかりたい猛虎も東京ドームで進撃だ。20歳が巨人打線を0に封じる好投でチームを首位に押し上げたわけだが、僕は梅野隆太郎の配球に注目していた。手元のスコアブックを見れば、計83球で「カーブ」と記した球は1球もない。
「チェンジアップとカーブのコンビネーションが素晴らしかったよ」
先月プレシーズンマッチで阪神と対戦したMLBカブスの主砲J・ターナーは先発した門別を絶賛し、カーブが印象的だったと語った。門別-梅野のバッテリーはカブスの打者15人に対し7球カーブを使った。初球に4度、勝負球に1度、これが5回パーフェクトのスパイスになったように思う。
今季初登板となった前回のカープ戦では計111球のうちカーブを3球投げ、そのうち1球を小園海斗に打たれたかっこうだけど、そのあたりを踏まえて今回のメーキングを梅野に…いや負傷した左手が癒えてから確かめてみたい。この日の配球と、梅ちゃんが長年愛着をもつ宜野座の快挙について。=敬称略=
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