「遺恨」の正体を知る

 【4月4日】

 マツダスタジムのモニターで多角度のVTRを見た記者たちが、口々に「セーフ」と言っていた。虎番、鯉番ともに口を揃えて「これはセーフに見える」と。ところが、判定は「アウト」…。

 新井貴浩のリクエストは実らなかった。初回先頭、カープ菊池涼介がセンターへ抜けようかという強い打球を転がした。が、これに小幡竜平が追いつき一塁へ。ヘッドスライディングの菊池の手がわずかに早いように映ったが、一塁塁審の右手が上がった。タイミング的には間一髪セーフ。しかし、リプレー検証した審判団が最終的に「アウト」とジャッジしたのだから新井も引き下がるしかない。

 鯉党の心情はさておいて、誰しも「アウト」とコールしたくなる小幡竜平のビッグプレーだった。打球が西勇輝の左を抜けた瞬間、こっちはスコアブックに赤ペンで「8」(中前打)…そんな当たりにグラブが届く好守こそ、岡田彰布が求めたショートストップの精度である。

 開幕3連敗でこの夜を迎えた鯉と、3連勝の虎。両極だからこそ岡田は警戒していた。新井鯉は何かをきっかけに化ける。その何かが出鼻の流れであれば、初回先頭の判定が分岐点…といえなくもない。このジャッジにベンチで笑みを浮かべた虎将の心は察しがついた。一方、阪神は相手ミスに乗じて先制点を奪った後、一塁走者の佐藤輝明がけん制死。今度は岡田が「リクエスト返し」したわけだが、こちらも覆らなかった。

 プレーボール前に球場上空にTV中継のヘリが飛んだ、華やかな新井カープのホーム開演である。

 岡田と新井が監督として相まみえる…あのとき想像できなかったことが、今、目の前にある。だからこそ、両将の「初対戦」で触れたかったことを書こうと思う。

 開幕前にNHKのプロ野球座談会に出演した岡田と新井は、笑顔で〈小競り合い〉を演じた。例の「送別会」問題である。岡田が阪神監督を退任した08年の冬、阪神の選手は指揮官の送別会を開催したが、新井は不参加。「僕は声を掛けてもらえてなかった…」と弁明したが、岡田は「(誘いを)断ったんじゃないの?」。そこに割って入った原辰徳が「(両者には)遺恨があるようだな」と茶化し、座談会の幕切れに微妙な空気が…。NHKは「※後日2人で食事に行ったそうです」とフォローのテロップを流したが真相は?

 新井は09年2月の沖縄キャンプ中に、デイリー評論家に就いたばかりの岡田を個人的に食事に誘いアグー豚のフルコースを振る舞った。08年といえば、新井が広島からFAで阪神に移籍した年であり最大13ゲーム差をまくられV逸したシーズン。前半絶好調だった男はあらためて「(腰椎骨折で)後半離脱してしまい、ご迷惑をお掛けしました」と謝罪。岡田は「新井の腰よりも、俺のほうが痛かったやろ」と笑っていた。

 阪神は、新井が牽引した08年以来の開幕4連勝。〈遺恨〉の正体をよく知る者として、両将のアレ争いを見てみたい。=敬称略=

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