嫌われてもええ覚悟

 【1月30日】

 岡田彰布が「4番打者」を公表したという。年間外さない4番を…である。岡田には哲学がある。4番は誰もが「その姿勢を認める存在」でなければならない。大山悠輔にはそれがあるというのだ。

 岡田がデイリースポーツの評論家時代、何度か食事を共にさせてもらった。

 「あれはあかんよ」

 OBとして、タイガースを憂う者として、選手の「姿勢」に注文をつけることもあった。箸をとめ舌鋒鋭くなる夜もあった。

 球場で試合を眺めながら「だから言うたやろ」と、負の結果の誘因を指摘し、個人の「姿勢」に首を傾げたことも何度か…。

 これまで「記者席から」だった見聞が昨秋から「直に」届くようになった。「やっぱり」もあっただろうし、「へぇ」もあったと思う。大山に対するそれは後者だったか。自分の目に加え、選手、スタッフ、裏方から伝わる空気感を肌で感じ、「阪神はこいつを軸にせなあかん」という確信めいたものが染みこんだのかもしれない。

 前回阪神を率いた04年から08年は、4番を5年間全試合1イニングも代えることはなかった。星野仙一は金本知憲を3番に据えて優勝したが、翌年、岡田は迷いなく本人に伝えた。「カネ、お前が4番打て」。骨折しようが「いけるやろ?」ではなく「いけるやろ」だった。これだけ信頼されれば、本人に「備わるもの」がある。

 覚悟である。

 4番の指名に限らない。「佐藤輝明はサード」と明言した。「外野も練習しとけ」とは言わない。これによって輝本人に「誰にも負けんサードになったる」という決心がつく。覚悟がうまれる。

 中野拓夢に対してもそうだ。二塁一本。本人はレギュラーでショートを守ってきた自負が間違いなくあったと思う。しかし、岡田は優勝するために代えるべきと思えば躊躇なく決める。「一応、二塁とショート両方やっとけよ」とは言わない。含みを持たせない。

 「大山は4番、ファースト」

 打順も守備位置も決める。主軸のポジションはあやふやにしたらあかん。決めてやらんとあかん。そんな責任を当然のように持っている指揮官である。

 熊谷敬宥、島田海吏、植田海は「開幕1軍」と、この時期にもう言った。ここ数年結果の出ない高山俊を1軍キャンプに呼んだ。ややもすれば「なぜ?」の声があがりかねない。しかし、岡田には迷いがない。何か文句あんの?俺が決めるんや。結果が出なければ責任をとる。「プロ野球の監督とはそういうもの」だと思っている。

 色メガネで見ない。結果を見て姿勢を感じて、自ら断を下す。メディアの前で名前を挙げずとも、良ければ使う。そこにエクスキューズをはさまない。だから、キャンプ中もまた評価を高める選手は必ず出てくる。僕が背番号80を見ていて一番スッキリするのは、あっちもこっちもの八方美人ではないこと。「嫌われてもええ」という覚悟があること。岡田はきょう沖縄へ入る。=敬称略=

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