園児の西純矢が握手を…

 【5月21日】

 天谷宗一郎から電話があった。

コロナ禍でカープとの3連戦が中止となり、何を書こうか思案していた夕方、「風さん、ちょっと聞いてください」と…。どうしたん?と聞けば、なるほど共感した。

 カープ球団で複数選手が新型コロナウイルス陽性判定を受けた。多くのネットニュースで試合「中止」の速報が流れたわけだけど、まるで阪神サイドが被害者のような一部見出しを目にしたそうで、カープOBの天谷は「この書き方はどうなんですかね…」と、やるせなさを滲ませていた。

 カープのコロナ感染のせいで…という類のニュアンス、認識はまったくもって的外れである。僕も天谷の思いと同感だし、これまでの取材に基づいて書けば、阪神球団も同じ感覚に違いない。

 この感染症、変異株を含むウイルスには日本全国民が巻き込まれているわけで、偏狭な視点で伝えることは、誰の得にもならないし読者、そしてプロ野球ファンも首を傾げる。他人事ではない。我が社ももちろん僕も戒めにしたい。

 中止されたマツダスタジアムでの今カード、天谷はRCCラジオで2戦目を解説する予定だったという。いつも、前もってカープと対戦する球団の戦力を予習するそうで、今週の阪神対ヤクルト(甲子園)は、テレビ中継にかじりついていたのだとか。

 「そうそう。西くん、良かったですね。投げっぷり(の良さ)が落ちないのがいいですよ」

 19日のヤクルト戦でプロ初先発初勝利を挙げた西純矢と天谷は、ちょっとした縁がある。

 広島出身の西は生粋のカープファン。カープで活躍する天谷のことももちろん大好きだった。

 10数年前のシーズンオフ、天谷がファン交流の一貫で広島県内の幼稚園を訪問すると、その園児だった西ははしゃいで近寄り、握手を求めた-。

 解説者として阪神戦を取材していた昨年、由宇球場で天谷のもとへ駆け寄った西純矢は、そんな思い出話を明かしてくれたそうだ。

 「高校時代はちょっとやんちゃだとも聞いてましたけど、すごく礼儀正しい選手ですよね。幼稚園のエピソードとかも、ラジオで話そうかなって思っていて…」

 天谷、ごめん…。先に書いた。

 18年まで現役だった天谷解説の強みは、阪神の選手と対戦した経験を生々しく語れるところでもある。打者目線で岩貞祐太や馬場皐輔のストロングも教えてくれたけれど、そのネタばらしは控えるとして、第2戦の先発予定だったルーキー伊藤将司については…。

 「四球が少ないのがいいですよね。あと、左打者の内を突くツーシーム系があったら最高だと思います。右打者に対しては内角へのカット、外にツーシーム…。カーブとチェンジアップで緩急を使えるので相当厄介だと思います」

 予習は十分…。今回中止は残念だろうけど、天谷はとにかく元チームメート、後輩の体調が気になって仕方ない様子だった。

 「早く良くなってほしい…」。皆、同じ思いである。=敬称略=

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