時を戻そうか 

 【10月14日】

 「時を戻そう」。きのうお笑い番組でぺこぱのネタを見ながら、そんなことできたらな…なんて考えた。タイガースは元気がない。井上広大のデビュー戦で気を紛らわせたかったところだけど…。

 できれば、時を戻したい。いま矢野燿大はそう思っているだろうか。コロナ禍の取材制限で矢野と話せない日々が続いている。

 矢野はどんな思いで指揮をとりどんな思いで日々を過ごすのか。

 昨年までなら、こちらがぶしつけに聞いても立ち止まって時間をかけ、応じてくれた。ひとしきり質問を終えると、「あとはええの?もう、大丈夫?」と気遣ってくれた。そんな日々が懐かしく…。

 きのう当欄でこう書いた。

 阪神の闇は深いのか。

 きっと深いのだろう…僕に連絡をくれる、球界に携わる方々はそう口を揃える。3月のコロナ罹患から始まり、福留孝介、そして一部報道が引き金で火の粉が飛んできた指揮官…これでもかとネット上で叩かれている。

 前述の皆さんがいう「闇」の正体を聞けば、内規違反や管理責任云々ではなく、メディアへリークする〈内通者〉の存在だという。

 こうなった以上、もはや、チーム「一丸」とはほど遠く、コロナ余波がくすぶる現在のタイガースを「一枚岩」と感じる者は、チームの内外で、おそらく誰もいないのでは??そう語るのだ。

 ぶっちゃけ、どんなチームだって「一丸」などあり得ないんだけど、例えば一つのかけがえない勝利をきっかけに連帯感が深まるのがスポーツの醍醐味。でも、そんな期待感もちょっと今は…。

 取材の限り、一連の報道はまだ続きがあると聞く。

 そこで、当欄の読者の方に聞いてみたいことがある。

 もし、今回の一連報道がミスリードなら?

 もし、「真実」との差異が甚だしいならば、球団、いや、親会社が法的措置を検討するだろう。

 やられたらやり返す!って言ってたら争いごとはなくならない-ぺこぱ松陰寺太勇はそうも言っていたけれど、誰だって球団のしかるべき立場ならそうする。

 だけど、これから先「すべて報道の言い分は正しい」「こちらが間違っていた」と阪神が〈完全降伏〉するとすれば、そのときは現体制が覚束なく…なりかねない。

 時を戻そう。

 思えば昨秋、高校生を主体に指名した阪神ドラフトは巷で「ロマンドラフト」と呼ばれた。ロマン…確かに井上の佇まいにそれを感じる。大野雄大に歯が立たず…ええやんか。どんどん打席に立って一流の洗礼を浴びればいい。18年組の小幡竜平だってそうだ。

 おそらく、いや、ほぼ間違いなく一昨日(13日)、阪神はスカウト会議を行っていた。再来週に迫るドラフト会議前、球団拠点で行う最後の報告会である。コロナ騒動でメディアの視線がそがれるなか、新しい血の発掘へ、難局世代の選定作業は佳境を迎える。残り10日、当欄は「ロマン」に続く道を追うことにする。=敬称略=

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