小幡と遠藤の「体内時計」

 【3月13日】

 MLBが開幕延期の決断をくだした。米大統領は東京五輪の開催について「個人的な考えだが、1年間延期すればよいかもしれない」との見解を示した。このウイルスの余波はどこまで広がるのか。

 「4月10日、開幕できそう?」

 鳴尾浜球場へ行くと、阪神2軍監督の平田勝男からいきなり「本題」をぶつけられた。既に延期の決まった日本プロ野球の開幕日について、そりゃ現場は何か情報が欲しいし、日々気になっている。

 19日に政府の専門家会議が開かれますので、それを目途に新たな指針が示されるのでは?

 そう返すと、平田は言う。

 「外国ではプロのアスリートも感染しているだろ?もう、プロ野球も他人事じゃないよな…」

 その通り…。取材すれば、鳴尾浜の独身寮も細心の注意を払っているという。いつも快活な平田節だけど、この状況下では、いつものテンションは影を潜める…。

 「先が見えないのが辛いな…。この前、新神戸からタクシーに乗ったら、運転手さんがマスクしてないんだよ。『マスクしないんですか?』って聞いたら『会社にも家にもなくて…』と嘆いててさ」

 センバツも、プロ野球も、五輪も…誰かのせいにできるものでもなく怒りの持って行き場がない。当方もなるだけ前向きな原稿をお届けしたいのだけど、見えない敵と対峙するストレスを無意識に抱えてしまっているような…。

 「風さん!元気っすか?」

 快活といえば、この男もそう。彼の現役時代、何度、こっちが助けられたか…いや、個人的なことはいい。今季から2軍内野守備走塁コーチを担う平野恵一である。

 「小幡がうまくなったら、遠藤もうまくなるし、遠藤がうまくなったら、小幡もうまくなるし」

 読者へポジティブな話題を…そう思いながら、平野にぶつけたのは、当方が最も注目している内野手2人の「現在地」について。

 平野に彼らの守備力を聞いた。

 「2人ともスピード感はまだこれからです。体内時計がね…」

 体内時計??

 「そうです。バッターランナーが打ってから一塁へ到達するタイムってあるでしょ。この打者ならこう…とか、そういう身に染みた体内時計というものが、1軍のスペシャリストと比べると、まだね…。試合にたくさん出ないと覚えられないので、これからです」

 昨年から当欄では小幡竜平に何度か触れてきた。素晴らしいポテンシャルであることは、僕にもよく分かる。この日は関西国際大戦で適時打。打力が課題といわれるけれど、僕が見る試合では小幡はよく打っている。遠藤成とともに必ず近い将来レギュラーを掴み、しのぎを削ってほしいと願う。

 「ライバルですしね…」

 この日、小幡にそのあたりを聞けばそう答えた。このオッサン記者はたまにファームに現れては話を聞いてくるよな…そう思われているかもしれないけれど、これからも2人を追う気満々。彼らの将来を考えるだけで、テンションが上がるのだから。=敬称略=

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