10年はあっという間

 【2月14日】

 吉本芸人の山田スタジアムが宜野座へやってきた。記者席で助っ人衆の打撃練習を眺めていた昼前のことだ。「ども、風さん。ご無沙汰です。沖縄でキャンプしてる球団いくつか見てきましたよ」。

 へぇ~。安芸へは??

 「いやぁ、ほんまは、めちゃめちゃ行きたいんですけどねぇ」

 ぜひ、安芸へ行ってください。ドラフト4位ルーキーの遠藤成という内野手を見て来てほしいんです。雰囲気ありますよ。

 山田といえば、お笑いコンビ・ストリーク時代から「野球芸人」を公言。イチローが楽屋に訪ねてくるほど、球界では名の知れた…ごちゃごちゃ説明は要らないか。

 この日はテンダラー白川悟実も宜野座を訪れるなど、虎党芸人がスタンドを賑わせていた。期待の外国人勢もいいけれど、2軍キャンプで牙を研ぐルーキーたちもネタに仕入れてほしいな。

 そうそう、読者の皆さんにお詫びしなくては。前々回の当欄でカープ菊池涼介の話を書いて「次回に続く」と予告しながら前回(きのう)はノムさんネタ…。予期せぬ訃報とはいえ、「お断り」を入れるべきでした。ごめんなさい。

 さて、今回はあらためて「菊池原稿の続き」を…。

 今や侍ジャパンに欠かせない、唯一無二の存在になった菊池だけど、駆け出しの頃から本人は自信満々だったわけではない。

 「1年目なんて、ファームの試合でも『やっぱ打てない…』って思ったこと何度もありましたよ」

 ルーキーイヤーの12年を回想しながら菊池は苦笑いするのだ。

 忙しい中、沖縄市コザで話を聞かせてくれたのだけど、耳に残ったのは彼のこんな言葉である。

 「当時の僕のことを思えば、今の1~2年目の子なんて本当すごい。もし僕が今プロ入りしていたら厳しかったかもしれない…って思うことがよくあるんですよ」

 確かに、最近のルーキーの中には、高卒でも体がほぼプロ仕様に出来上がっている選手もいる。特別デカくなくても、レギュラーと遜色ない「体つき」といおうか。

 食育やトレーニング法が時代とともに進化し、昔は線が細くユニホーム姿が貧相な新人が大勢いたけれど、今は見なくなった。

 じゃ今の時代、全員が菊池のような一流になれるのかといえば、そうじゃない。「体つき」のほかに若手の成長を「分かつ」要素は幾つかあると思うが、それをいかに「早く」自分で見つけるか。

 山田スタジアムにイチ押しした阪神ルーキー遠藤成のことを先日当欄で書いた。彼は「3年でレギュラーになりたいです」と僕に語っていた。「3年で1軍」…ではない。「高卒だからゆっくり」という認識はないのだ。阪神球団本部長・谷本修に聞けばこう語る。

 「10年なんてあっという間ですから。3年?いいと思います」

 もし菊池が今プロ入りしても一流になったと思う。潜在性はもちろん、良識、礼節、努力…。あぁ書き忘れないようにしないと。彼の若いころの目つき…遠藤のそれとかぶるんですよ。=敬称略=

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