大和よりも、小園よりも

 【11月15日】

 当欄を目にした小幡竜平、そして守備部門のコーチが「今に見とけ」と負けん気をたぎらせてくれれば…今回はそんな思いでPCのキーを叩いてみる。安芸でギラつかせる面構えを思いながら。

 今週は宮崎で他球団のキャンプを見て回った。そこで、選手、関係者から決まって逆取材されたのは「鳥谷敬の後継者」について。

 紙面でよく見掛ける「来季の内野抗争」に、当たり前だけど、鳥谷の名はない。これは、彼がドラフト指名された03年の秋以来だから、16年ぶりのこと。こう書いちゃ何だけど、世代交代を担う新鮮な顔ぶれにワクワクする秋でもある。なかでも、当欄がシーズン中期待を込めて書いてきたのが、ドラフト2位新人の小幡である。

 全国に轟く華々しい実績はない小幡だけど、あのポテンシャルがあれば、本人が同世代スターへのライバル心を抱くのは当然。何度かウエスタン・リーグで巧守を拝見したけれど、やはり非凡。今秋の安芸キャンプメンバーに抜擢した矢野燿大は「平田さん、高代さんから『守備は小園や根尾よりも小幡の方がうまい』と聞いているから」と語っていたし、「小幡は大和の一年目より上手い」と話すファーム関係者も少なくない。

 書き手も井の中の蛙にならぬよう。そんな思いで毎年この時期そして2月に他球団のキャンプを巡るのだけど、よそへ行けば、虎とは異なるよその見方がある。

 「練習と試合は違うし、2軍と1軍も違う。1軍の試合において小園の守備力が小幡より劣るかといえば、そんなことはない。小園のほうが上だと思うよ」

 カープ首脳陣からそんな声を聞き、他球団でも「総合的に見れば小園は打力が素晴らしいので、必ず守備にも好影響が出てくると思います」という話も聞いた。

 虎での評価と、よそでの評価。今の段階で「どっちがどう」といえないけれど、僕の感情は「小幡竜平よ、負けるな」である。

 きのう当欄で〈阪神ではウエートトレーニングは自主性に委ねられる〉と書いた。取材に基づいたものだが、これを読んだ球団関係者から「ちょっと違う箇所があるんですよ」と指摘を受けた。

 例えば、小幡ら強化指定された高卒選手に関しては「自主性」ではなく、3~5年間「強制」でウエートトレーニングがプランニングされているという。鳴尾浜では定期的にウエート強化の専門家を招き、選手、監督、コーチ、スタッフがその「効果」「有効性」について講習を受けている、とも。

 母校・延岡学園にウエートの施設がなく、ウエート〈初体験〉となる小幡もこの一年間、計画性をもって筋力強化したそうで、数年後の効能が期待されている。

 10代の選手が「100%自主性で」などあり得ないし、指針を授けるのが球団の使命である。しかるべき立場の人間が選手にイイ顔をすることで、挙げ句、選手のためにならないことを過去にイヤというほど見てきた。小幡を、小園を凌駕する一流に-そんな願いを強くして高知へ戻る。=敬称略=

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