安芸ゆかりの野人は語る

 【11月7日】

 高知といえば、坂本龍馬。安芸といえば、岩崎弥太郎…土佐っ子は幼くして教わる。では、安芸にゆかりのあるアスリートといえば?こう聞かれると、どうか。土佐ノ海(現立川親方)…だろうか。

 滞在ホテルの部屋になぜか『古今和歌集』が置いてある。恥ずかしながら、その類にめっぽう疎いので、なかなか手が伸びない。

 というか…どうして『古今和歌集』なのだろう?支配人の好み?などど、何となく気になっていたのだけど、この日こんな報道がネットニュースで飛び込んできた。

 「古代歴史文化賞」の選定委員会は6日、第7回大賞に、鈴木宏子千葉大教授の「『古今和歌集』の創造力」(NHK出版)を選出した。国内初の勅撰和歌集の選者紀貫之による緻密な編さん過程を読み解き、日本文化論にまで視野を広げた点が評価された-。

     (神戸新聞ネクスト)

 きのう「僕は歴史好き」なんて書いておいて、お恥ずかしい。なぜ、高知県のホテルが「『古今和歌集』をどうぞ」と置くのか?

 『古今-』の撰者・紀貫之は高知県にとてもゆかりのある歌人である。平安時代、土佐国に国司として赴任していた貫之は、任期を終え、京へ帰る50日ほどの旅路を日記風に記し……ご存じ『土佐日記』である。○○ホテルさん、どうせなら『土佐-』を置いてよ!古今-紀貫之-高知県。この連想ゲームは、ちょっぴり高度デス。

 ついでにいえば、紀貫之はこの旅路で安芸も通過したそうで。

 そういえば、安芸にゆかりある有名なアスリート、いた、いた。

 サッカー元日本代表の岡野雅行…W杯初出場の立役者、ご存じ、あの「野人」だ。彼の祖父は安芸市出身の書家・手島右卿(ゆうけい=故人)で、聞けば、安芸名誉市民になっているそうな…。

 さて、虎の『安芸日記』は1週間を経た。この日、サブグラウンドで早出練習を眺める球団本部長の谷本修としばし話をした。

 「自信ですよね、自信」

 藤浪晋太郎の復権に話題がおよぶと、谷本はそう言った。

 「高校時代は(相手を)見おろして投げてたんじゃないですか」

 確かに晋太郎が甲子園で春夏連覇を成せたのは、春の「自信」が裏付けになっていたはずである。 「高校時代の自信」が有効だった3年を経て、「新たな自信」を得るための、この3年間は無駄ではない…というか、まだまだ貯金があるのだから、彼は幸せ者だ。

 臨時コーチ山本昌の技術指南が晋太郎の「自信」を後押しすれば谷本も言うことはないだろう。

 この安芸キャンプで、ブルペン投球、そして、フィールディングでの送球の〈安定感〉は、谷本の目にもはっきり伝わっている。

 「きょう、一旦球団(事務所)へ戻ります。また来ます」。谷本はそう言って高知を離れた。

 昨日、野人岡野は高知でサッカー教室を催したという。子ども達に伝えたことは「挑戦して楽しむこと」。どこかで聞いたような。 虎の『安芸日記』で「自信」の礎を読めたら嬉しい。=敬称略=

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