阪神の「おもてなし課」
【8月8日】
関ジャニ∞錦戸亮が主演した映画『県庁おもてなし課』で脚光を浴びた「おもてなし課」は、高知県庁に実在する課である。正確には、高知県観光振興部「おもてなし課」というセクションだ。
「お問い合わせですか?いえ、デイリースポーツさんだけ…ですね。でも、こういう機会に私たちの課を思い出していただいてありがとうございます。私たちも一国民として、とても驚き、また、喜ばしいことだと思っております」
高知県の「おもてなし課」に電話してみると、こちらの唐突な直撃にも、心地よい土佐弁の女性課長が丁寧に対応してくれた。
何の話かって?
「お・も・て・な・し」のアノ人の話題でもちきりなので、そういえば…と思い出した次第。滝クリと高知県???いや、僕が知らないだけで、もしかしたら…なんて思いで、女性課長とアレコレ話をさせてもらったのだけど、残念ながら、〈おもてなし繋がり〉は何も出てこなかった。
それでも、この課長さん、とても感じのイイ方で、当方が「ところで…」と、それこそ、滝クリとはまるで相関のなさそうな(?)虎の話題を振ってみると、これまたどこまでも親切な方で…。
「安芸キャンプでは、毎年、阪神さん、そして応援に来られる方には大変お世話になっておりますし、高知出身の藤川球児選手もいらっしゃいますので。私自身も阪神ファンですしね…」
観光振興に力を注いできた高知県が「おもてなし課」を設置したのは07年。13年目を迎える同課は6人の職員で高知観光の「おもてなし」活動を進化させてきた。
「おもてなし課」なるもの、阪神球団には存在しない。でも、営業に携わる職員の「おもてなし活動」は、知る限り、一昔前よりずっと活発になったように感じる。
神宮球場を満員に埋める虎党を眺めながら、改めて思う。タイガースの選手は幸せだな、と。NPBの公式HPによると、今季の球団別入場者数は、阪神がセ・パ12球団でトップ(7日まで)。1試合平均の入場者数は4万3631人で、セ最少のヤクルトより実に1万6729人も多い。球宴前までの入場者数は、前年度に比べ、1試合平均4・5%増。現在Bクラスに沈む矢野阪神だけど、〈支持率ランク〉では王者なのだ。
「ずっとAクラス争いに絡み、かつ雨で流れなければ(主催試合の観客動員)300万人いくと思います」。大阪野田の本社で「おもてなし活動」に熱を入れる阪神関係者はそんな見立てをする。
ファンを喜ばせる-矢野燿大が率先して訴えてきた19年である。当欄に届く読者の手紙を読めば、「矢野ガッツ」に励まされる虎党は沢山いる。そういう意味で最近やや縮小気味なガッツが気になっている。電撃婚の決め手を「理屈じゃない」と語った人がいるけれど、まさにそう。「イイね」は理屈じゃないことが多いのだ。この夜のように藤川球児が最後を締めれば、「おもてなし」は理屈抜きに五つ星☆になる。=敬称略=