2ケタを射止める筑後の神

 【3月2日】

 キャンプ地の沖縄から兵庫の自宅へ戻り、2日休んで福岡へやってきた。我が阪神の九州遠征はいわゆる親子ゲーム2連戦。今回、当方の目的地は博多ではなく筑後である。さて、筑後といえば…。

 そう聞かれて、これでしょ!と即答できる読者はいるだろうか。「ソフトバンクの2、3軍施設」としか答えられない僕にとって、この日は新たな発見があった。タマホームスタジアム筑後は、博多から九州新幹線つばめで30分ほどの筑後船小屋が最寄り駅だが、もう何度もお邪魔しながら、初めて目についたものがあったのだ。

 駅舎の出入り口に「恋むすび」と赤く彫られた石碑…。何やろ?と調べてみると、筑後といえば…の答えが一つ見つかった。皆さん九州の二大天満宮ってご存じですか?一つは学問の神様「太宰府」で、もう一つが、ここ筑後の「水田」なのだとか。その水田天満宮の末社として筑後の名所となっているのが、「恋木(こいのき)神社」。文字通り縁結び、恋命(こいのみこと)を祭り、境内にいくつも〓(2661)のモチーフが施されているので女性に人気なんだそうです。

 恋命様の御縁が深いとされる今日3月3日「雛(ひな)祭り」は「良縁成就祭」が執り行われる、恋木神社にとって特別な日。恋する虎子(とらこ)の皆さま、一度参拝されてみては??なんて、筑後観光をお薦めしてみたりして。

 脱線が過ぎました。恋バナとは関係ないけれど、虎の男前から土産話をいただいた。1軍バッテリーコーチ藤井彰人に2軍戦のタマスタへ行くことを伝えると、「片山、頑張ってますね。『見ているよ』と伝えてください」と…。

 「はい上がろうとする姿勢と、(背番号)2ケタを取りたいという思い。試合で結果も残したんだけど、まず、あの声、あの元気は貴重なんだよ。シートノックでもチームに活気が出るし、俺としては、彼の存在はトータルで非常にありがたかった。野球に打ち込む真摯な姿勢というものを久しぶりに感じたし、新鮮さがあった。いい見本としてMVPに選んだよ」

 ベンチで2軍監督の平田勝男に聞けば、賛辞を惜しまなかった。

 育成ドラフト1巡目ルーキーの片山雄哉(BCリーグ福井)である。安芸の2軍キャンプで〈最優秀賞〉に選ばれたと聞いて会いたくなった。この日は結果だけ見れば2打数無安打(左飛、投ゴロ、四球)だけど、1打席目の左飛はホークス左翼手が背走し、フェンスに体を当てながら好捕した痛烈な飛球だった。カウント3-1からためらいのないスイングで逆方向へあの打球。試合前のフリー打撃では全てフルスイング。ベンチが使いたくなる素材だと思う。

 3年前、指導者修行を兼ねて阪神からBC福井へ出向した藤井の〈教え子〉。面構えもいい。

 ホークス3軍の本拠でもある筑後には背番号3ケタが沢山いる。かつての千賀滉大(128番)や甲斐拓也(130番)がそうだったように。2ケタを射止める恋命の神がここにいるならば、片山だってあやかりたい。=敬称略=

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