秋しかない。丸はそう言った

 【10月28日】

 タイガースの秋季キャンプメンバーが発表された。こんなことを書けば「吉田はアホか」と相手にされなくなるかも。でも、素直に感じることだから書いてみる。

 なぜ、鳥谷敬はこのメンバーに入っていないのか。

 大ベテランだから?

 名球会メンバーだから?

 秋季Cは若手の場だから?

 そんなもん、お前、何年この世界でやってるんだ!って球団や業界仲間からツッコまれそう。

 ベテランが安芸へ行っちゃいけないルールなんてないんだけど、このクラスは〈行かないもの〉という不文律(?)はある。でも、どうだろう。個人的には、それくらい新鮮なチャレンジがあってもいいじゃないか…と思うのだ。だって、鳥谷はもう一度ショートでレギュラーを狙うんでしょ?北條史也らとガチで競うんですよね?だったら、カラダは若いんだし、泥にまみれてもいいじゃない。

 昨秋のキャンプで思い出すのは「カープの衝撃」である。DeNAに不覚をとり、CS敗退したその夜に、ここマツダスタジアムで日南行きのキャンプメンバーが決まった。田中広輔、菊池涼介、鈴木誠也、そして、丸佳浩…。

 はい?主力、全員行くの??

 「レギュラーキャンプです」

 打撃コーチの東出輝裕は涼しい顔で僕にそう言っていた。

 金本知憲にこのインパクトを伝えたところ、「そうは言っても、そのメンバーが(秋に)ガッツリやるわけじゃないだろ?」。僕も同じ認識だったので、日南まで実際に見に行ってみた。これがもうガンガン、ガッツリで…。

 「もともと練習しておきたいタイプというのもあるんですけど…あの時期に一歩引いた目線でシーズンを振り返ってみることは僕にとって意義のあることなんです。当然、シーズンの疲れはありますけど、結局、その後2カ月間くらいは休めるわけですからね…。そこでもう一踏ん張りできるかできないかで、『今』とか『来年』とかそういう短い期間の話ではなく自分の野球人生、選手寿命にも影響してくると思うんですよ」

 丸佳浩に一年前の有意性を確かめてみると、スケールのでっかい効果を語ってくれた。さらに…。

 「筒香(嘉智)がフォームを一度解体するということを、どこかで読んだことがあるんですけど、僕もその気持ちはすごく分かります。常に同じ打ち方、同じアプローチの仕方でいい結果が出るとは限らないし、年齢を重ねていくとシーズン毎に体のバランスに合った打ち方というものがあると思うんです。それが全部見つかるかといわれたら難しいかもしれませんが、何かしら自分の中できっかけを掴める機会は、秋のあの期間しかないと思っています」

 秋しかない?

 「はい」

 丸の今シリーズ初安打、このチャンスメークが第2戦の勝敗を分けた。それくらい価値ある二塁打だったと思う。昨秋のもう一踏ん張りが、今秋の大切な1本に繋がっていることは確かだ。=敬称略=

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