走る虎、走れる虎

 担当コーチは当欄に言いたかったはずだ。「見とけよ…」と。開幕前も、その後も、何回書くねん…というくらい書いてきた。「走らない虎」のハナシである。

 走らない、いや、走れない虎…そんなふうにも書いてきた。断っておくが事実を歪めたわけじゃない。目の前にある数字を指摘してきたまで。もう、お忘れかもしれない。今春のオープン戦、阪神の盗塁はいくつだったでしょう??

 5つ。12球団最低である。

 では、ついでにもう一つ。開幕から20試合を経た時点で阪神の盗塁はいくつだった??

 1つ。12球団最低でした。

 このとき、阪神のイヤ~なデータを書かせてもらった。「20試合で1盗塁」は最下位に沈んだ88年(第2次村山実政権)以来、30年ぶり。シーズン換算すれば7盗塁…と、触れなくていいことまで触れてみた。NPBの記録をめくると、2リーグ分立後の最少盗塁は04年の巨人で「25」。金本阪神はこの有り難くない記録を大幅に下回る可能性があった…わけだ。

 さて、あれからどうなったか。

担当コーチは「どや」と言いたいかもしれない。今や「走る虎」。「走れる虎」が目の前にある。

 誰が年間7盗塁じゃ!交流戦前まで「27」盗塁。44試合であの年の巨人軍を軽く上回ってみせた。

 「それはもう、植田海に尽きるよ。あいつがスタメンに名を連ねるようになってから、ガラッと変わっただろ?明らかに相手が嫌がっているのが分かるもんな。こいつを絶対に塁に出したらあかん、フォアボールで出したらあかん、というプレッシャーというか…」

 当欄憎しの一人?内野守備走塁コーチの久慈照嘉はそう話した。

 この夜のキーマンはその人、植田海であったことがよく分かる。初回、先頭の植田が四球出て二盗→糸原健斗の進塁打→福留孝介の犠飛で生還。ノーヒットで先制点を奪うと、三回の得点も快足が起点になった。2死走者なしからヒットで出た糸井嘉男が二盗(初球)を決め、中谷将大のヒット→相手暴投で追加点を奪ってみせる。

 さらに、さらに、五回の得点も植田から。これが久慈のいう「こいつを出したら…」というプレッシャーか。この日2つ目の四球をごっちゃんし、エンドラン、相手暴投で生還。三度(みたび)ノータイムリーで点を奪ったのだ。

 ちなみに、触れておこう。前述したシーズン25盗塁の巨人軍のことである。プロ野球ファンはこの04年のG打線をよく覚えていると思う。タフィ・ローズ、ロベルト・ペタジーニ、小久保裕紀ら元他球団の4番を並べた「史上最強打線」は、シーズン259本塁打のプロ野球新記録を樹立しながらVを逃し、結局3位どまり。どれだけ迫力ある打線を作りあげ、それだけ打ちまくろうが、機動力を軽視すれば勝てない…そんな典型的なサンプルが過去にあることを、いま一度心にとどめておきたい。

 ソフトバンクも当たり前のように30盗塁をクリアしているが、明日からは60盗塁に届こうかという西武と相対する。  =敬称略=

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