虎の正捕手は梅野隆太郎…?

 【2月28日】

 ピッチャーもバッターもアピール!両方がんばれ!グラウンドの選手にも届いていたと思う。ウチナンチューの虎党…いや、野球好きのオジサンだと思う。宜野座の紅白戦で三塁側の石段席から何度もあったかい激励が飛んでいた。

 両方がんばれ。その通りだ。ただ、紅白戦はちょっと投手には気の毒。味方にぶつけちゃいけない…どうしても、そんな心理がはたらいてしまう。打者もよく分かっているので、僕らはそれをさし引いて見る必要はあるのだが…にしても素晴らしいスイングだった。

 梅野隆太郎である。白組の8番捕手で先発し、三回に高橋聡文の初球を左翼芝生席へ放り込んだ。二塁打も◎これぞ梅野の魅力…。

 正捕手は誰なんだ?開幕まで残り1カ月となり、ファンの間でも気になるネタだと思う。僕の取材の限り、現段階では梅野が一歩リード。そんな様相ではある。これから30日で決着がつくのか、それとも併用になるのか。近年は他球団を見渡しても「正捕手不在」がトレンドになりつつある。トレンドと書くと語弊があるか。指導者の間でも捕手併用の「是非」は意見が分かれるだろうけど、僕は「正捕手」を決めてほしい派。なぜって、矢野燿大(現阪神2軍監督)がそうであった時代を見てきたから。代役の利かない「扇の要」こそチームを安定させる。金本知憲も本音はそうに違いない。今は「両方がんばれ」の気持ちではあるけれど、誰かがその座を掴み取って欲しい思いは強くある。

 梅野が「リード」と書いたが、「決定」とは書いていない。なぜか。他の候補者に梅野と違う魅力があるからだ。ならば梅野が正捕手を掴むには??一つは自身に欠ける要素を徹底して身につけること。もう一つは秀でるものを、他の追随を許さないほど絶対的なものにすること。梅野に限らずだけど、僕は後者を目指して欲しい。

 梅野の武器は見ての通りの長打力、そして「肩」。この日は途中から一塁に就いたこともあり、強肩披露はならなかったけれど、キャンプ中その熟成度を見ていると絶対的なものになりつつあると感じる。「投げることよりも、とにかく捕る動作を大切にしてきました」。捕ってから投げるまでの速さ…梅野に「自己完成度」を聞かせてもらっているうちに、ふと氷上の金メダリストを思い出した。

 平昌五輪スピードスケート女子500メートルで「金」を獲った小平奈緒が大会前こんなことを話していた。「頭で考えている事をようやく体で表現できるようになってきました」。31歳8カ月の冬季五輪金メダルは日本人最年長だとか。理想型を体現する為に、それだけ時間がかかったということだ。

 「捕球時のミットの角度もそうですし、捕る動作がうまくいかないと、どもる(つっかえる)。一年目からの積み重ねでそれを大切にしてきた結果だとは思うんですけど、頭で考えている事と動作が合ってきた実感はあります」

 5年目、今年27歳。新選手会長が自らの年表に「正捕手」獲得と書き込めるか…。=敬称略=

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