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何より胸張れる連続無併殺打

 金本知憲氏がプロ野球人生の秘話を語る連載「21年間の舞台裏」。昨年の引退会見で、最も誇れる記録にあげた1002打席連続無併殺打記録の記憶。日本記録達成の試合で立ちはだかった壁とは…。

 個人記録は意識しない。誰に聞かれても、そう答えてきました。でも、一度だけはっきりとこだわった記録があります。

 引退会見で一番誇れるものを聞かれ、連続無併殺打の記録だと答えました。ヒットやホームランと違い、派手さもなければ、名球会の条件にもならない。ある意味、マニアックな記録かもしれません。でも、僕が何よりも胸を張れるもの。ずっとそう思ってきました。

 例えば1死一塁で打席が回る。この場面でゲッツーになる可能性は何通りかあります。内野ゴロなら、かなりの確率でそうなる。二塁封殺で一塁へ転送される局面では、僕が全力で走っても打率は上がらない。アウトになる場面、自分の成績が下がるときに全力疾走できたことは、ある意味フルイニングの世界記録よりも誇れる。打率が上がる内野安打は、誰でも必死になって走る。連続無併殺打は、技術ではなく姿勢が問われる記録。だから後輩たちにも胸を張れると思っています。

 偉そうなことを言っていますが、当初はまったく意識していませんでした(笑い)。連続無併殺打が700打席くらいになったとき、広島の地元紙、中国新聞の記者から教えられたのです。「そういやあ、カネって、ゲッツーないよなあ」。確かに…ないような気はする。調べてもらうと、日本記録まで残り200打席を切っていました。

 この記録は、走者のいない場面では自動的に更新されます。当たり前ですが、併殺がありませんから。でも、肝心なときに野球の神様は試練を与えるものです。忘れもしません。01年の8月31日です。日本記録がかかった試合で、ことごとく壁が立ちはだかりました。

 場所は広島市民球場。巨人戦でした。900打席連続無併殺打の日本記録にあと1と迫り、迎えた四回裏です。僕の前にランナーが出なければ、自動的に記録到達。でも、出ました。先頭打者の東出輝裕選手がヒットで出塁し、続くエディ・ディアス選手はセーフティーバントで、無死一、二塁。スコアは0-0でしたから、走者を進めなければならない。送りバントなら1死二塁で併殺はない場面。心の中で苦笑いしました。でも、僕は負けなかった(笑い)。

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