阪神「完全3割」維持する佐藤輝 苦戦分野なし最強打者へ変貌 バース以来の三冠王、チーム日本人初の快挙なるか
「完全3割」を維持し、佐藤輝が初の三冠王へ挑む。本塁打、打点、そして打率でセ・リーグ1位を快走中だ。とりわけ打率・385は2位以下を大きく引き離し、独り旅を続けている。左右投手や対戦相手など、あらゆる状況下で3割以上を保ってきた。6年目を迎え脂の乗りきった虎の大砲。安打製造機の顔も併せ持ち、チームを力強くけん引している。
◇ ◇
苦手も知らず、スランプも知らず。破壊力に加え確実性も備えた佐藤輝が、未知の荒野を突き進んでいる。7日現在の打率は・385、安打数は47でともにセ最高。打率は一時4割を超え、安打数は年間203に達する勢いだ。
昨季までの佐藤輝にとって、打率4割どころか3割ですら遠い世界だった。過去の最高打率は、25年の・277。本塁打と打点では結果を残してきたものの、打者の勲章である大台にはほど遠かった。
それどころか、シーズン中に「3割打者」だったことすらほとんどなかった。シーズン打率・300をクリアしていた直近は、23年の開幕3戦目。4月2日DeNA戦を終えてこの年通算10打数3安打、ちょうど・300としたのが最後だ。
シーズン中に打率3割を維持した最長は、22年のチーム10試合目である。4月5日DeNA戦を終え、開幕から39打数12安打で・308とした。ところが翌日6日の同戦で5打数無安打に終わり・273まで下げると、二度と3割台に戻せなかった。
佐藤輝がシーズン中の打率を3割以上としていたのは、この2年だけ。試合のなかった日を除くと、過去5年間で「3割打者」と名乗っていたのはわずか8日間しかなかった。
苦戦する分野がないことが、今季最大の強みである。月別、対戦相手別、デー・ナイター別、球場別、左右投手別と、すべての状況で3割をクリア。死角はどこにも見当たらない。
戦った33試合を3等分し、11試合ずつの成績を見ても、いずれの時期でも3割以上をマークしている。まさに「完全3割」といえる。新人だった21年には59打席ノーヒットを続け、野手のNPBワースト記録を更新。5年前の粗削りな大砲は、最強の打者へと変貌しつつある。
阪神では史上最強助っ人バースが、85、86年に三冠王となった。40年の時を経て、チーム日本人初の快挙は成るか。異次元の覚醒を果たし、軽快に安打を連ねる佐藤輝に、大きな期待が膨らんでいく。(デイリースポーツ・高野 勲)
