阪神・ドラ1伊原がプロ1勝 12球団新人一番乗り 初先発5回0封 お立ち台笑顔で「素直にうれしいでーす」

 「阪神8-1広島」(20日、甲子園球場)

 新人左腕が聖地に六甲おろしを響かせた。阪神のドラフト1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=がプロ初先発で5回無失点5奪三振の好投。12球団の新人一番乗りとなるプロ初勝利を挙げた。チームは甲子園で11日の中日戦以来となる今季2勝目。連敗を2で止め、2位に浮上した。

 勝利の瞬間、普段は感情を表に出さないルーキーが両手で軽く拳を突き上げた。ウイニングボールを受け取ると、優しく笑う。ドラフト1位・伊原が、初勝利でしか味わえない藤川監督とのツーショットでさらに笑みがはじけた。「素直にうれしいでーす」。初のお立ち台ではいつもの落ち着いた24歳に戻っていた。

 ドラフト1位の重責を担いながら人気球団に入団。昨年12月の入団会見では「開幕1軍。1年目はとにかく新人王」と宣言した。春季キャンプは1軍で完走。オープン戦でも結果を残し、まずは最初の目標をつかんだ。プロに入ってから順風満帆に見えるが、制球力が“良すぎる”からこその壁があった。

 4月9日のヤクルト戦では中継ぎで1回無失点1四球。明らかなボール球が続いたわけではないが、ただ1つの四球でも大きなほころびとなる。これまでも際どい球がボール判定になることが多かった。そんな時、金村投手コーチから言葉を掛けられた。

 「社会人の審判とプロの審判は違う」

 コントロールが強みだからこそ、ストライクゾーンの違いに苦しんでいた。「我慢して際どいところに投げ続けろ。そしたら審判もストライクを取ってくれるようになる。それでもボールなら、最初に甘いところから入ってゾーンを広げていけ」。2つの助言が伊原をさらに“制球の鬼”とさせた。

 そして迎えた初先発。四回2死一、二塁。前の打席で右前打を許した菊池と対峙(たいじ)。外角中心に攻めてカウント2-2から、最後は内角低めに構えられたミットへズバッ。142キロ直球を投じて見逃し三振を奪った。感情むき出しにほえ、グラブをたたいて喜びを爆発させた。三回も無死一、三塁で丁寧にコースを突いて無失点。2度のピンチを乗り切った。

 5回4安打無失点で5奪三振。12球団の新人一番乗りとなる初勝利をつかんだ。「とにかくゼロに抑えたい思いが強かった」。スコアボードにゼロを並べて、中継ぎを含め13回1/3を連続無失点。この日は無四死球と完璧な投球を披露した。

 大商大時代には指名漏れを経験。小学3年から始まった紆余(うよ)曲折の野球人生を負けん気の強さで乗り越えてきた。「とにかく負けない投手になりたい。粘り強くずっとずっと同じ投球ができればいい」。改めてプロとしての理想を描いた。「いつもチームに貢献できるように」。一回り大きくなった背番号18が虎の未来を担う。

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