日本ハム・新庄監督「4番像は右バッターですか?」 阪神・岡田顧問「そら右よ。右で打てる選手がおるチームの方が強いよ」
沖縄で夢対談が実現した。阪神前監督の岡田彰布オーナー付顧問(67)と、日本ハム・新庄剛志監督(53)が名護でぶっちゃけトークを展開。キャンプ中に個別取材を受けるのは珍しい新庄監督が来訪を快諾し、采配などに興味を持っていた阪神の大先輩を質問攻めにした。球界屈指のカリスマ性を持つ2人による、最初で最後かもしれない掛け合いをお楽しみください。
◇ ◇
-2人は現役時代に阪神で接点はあったのか。
阪神・岡田オーナー付顧問(以下、岡田)「(一緒にやったのは)2、3年やもん」
日本ハム・新庄監督(以下、新庄)「会話もそんなになかったですね。しかし、ショックだなあ。岡田さん、あと1年でも見たかった。やっぱり(退任の原因は)体調ですか?もうタバコはやめたんですか?」
岡田「やめた。吸えんかったもん」
新庄「もう吸いたくないんですか?」
岡田「もう全然吸ってない。去年の10月のクライマックス(・シリーズ)の前から」
新庄「えー!?(22年オフに)監督に戻った時の映像でもう喉がおかしかったですもんね。めっちゃ心配してましたよ。原因はタバコでした?」
岡田「いや、タバコやめてもあんまり変わらんな。ちょっとはマシやけどな」
-新庄監督が個別取材を受けるのは珍しいと聞いた。
新庄「岡田先輩ですよ?もう当たり前じゃないですか!本当にこの2年間は岡田さんの試合は毎日、見ていましたね。ほんとに」
岡田「へえ、そうか」
新庄「特に去年のDeNA戦で阪神が1対3で負けていて、九回ノーアウト一、二塁で中野くんに打たせたんですよ(※1)。センター前を打って、逆転勝ちして。僕なら100%、バントさせる場面で岡田さんは打たせるんだ。すげえなと思って見てました」
岡田「俺はあれや、失敗する(可能性が高い)ことはせえへんからな」
新庄「やっぱりそうなんですねえ。(元監督の)矢野さんが育ててきた選手を、岡田さんになって1年目で『さあ、どれぐらい、いじくるのかな』って期待してたんですよ。で、ショートとセカンド、変えたでしょ?あれでもう大正解なんで。あそこを変えたことによって優勝できるんだあって思いましたね」
岡田「そんなもんやんか。紙一重やからな、結局。ちょっとのことやで。優勝できる、できないはな」
-昨季の交流戦で岡田顧問から新庄監督へ「パフォーマンスなんかしなくても勝てるチームやん」と伝えた、と。日本ハムの強さとは。
岡田「(昨季は2位になって)勝ったやんか」
新庄「いや、もうおっしゃる通り」
岡田「交流戦でパ・リーグとやったけど、やっぱり日本ハムは強いと思うた。優勝か2位か。行くと思ったよ、交流戦の時にもうな。最後は(CSで)ソフトバンクにも勝つと思ったけどな。ソフトバンクも前みたいに打たんからな」
新庄「そんな打たれていない気がするんですよね」
岡田「でも、近藤はやっぱり打ちよるわ」
新庄「やっぱり近藤くんですか!」
岡田「選手は一回、2位とかになると全然、気持ちが違うからな。(11日の)中日とDeNAの練習試合に行ったけどDeNA、見てみてみい。3位からでも日本一になったことで姿が違うかったで。中日は3年連続最下位でチームを変えよう、変えようとしてるけどしんどいよな」
新庄「岡田さんが中日の監督したらどうなんだろうか。一気にAクラス行くんかな?」
岡田「しんどいなあ」
新庄「ハーッハッハ!はっきり言う(笑)」
-新庄監督は就任時、スター選手を何人か作ることができれば強くなると話していた。理想の形には進んでいるか。
新庄「はい、そうですね。万波くん、清宮くん、野村くんっていうのは、やっぱりね。固定させていきたいっていうのは、チームの将来のためなんです。僕が辞めても、この3人はやっぱり頑張ってもらわないと。ただ、野村くんに関しては打つだけで、守備も足もないんで。サードとファーストなんだけど、サードのスローイングがあんまりよくないんで、清宮くんをサードに持っていったんですね。僕が(監督の)1年目の時、あの年代の選手を3年後に中心に育てていかないと強いチームにならないと思っていたんで。岡田さんの4番像っていうのは右バッターですか?左バッターですか?」
岡田「そら右よ」
新庄「右ですよね!僕も左バッターにすると、左ピッチャー出てきた時に全然打てない左バッターが4番って好きじゃないんですよね。やっぱ僕は4番は右なんです」
岡田「そら、やっぱり右バッターで4番を打てる選手がおるチームの方が強いよ」
新庄「ですよね!」
岡田「間違いなしにな。左は作れるから」
新庄「(ヤクルトの)村上くんぐらいのレベルだったらね」
岡田「あっこまで行けばな」
新庄「ですね。あそこまで行けばいいですけどね」
-新庄監督はすでに野村の開幕4番を明言している。
新庄「野村くんはインコースをものすごくうまく打つんですよ。ただ、(心臓部分を叩きながら)ここ。ちょっと5、6打席打てなかったら、シュンって。だから僕が我慢強く使っていけば、一皮むけるんじゃないかなって思っているんです。経験ですよね?」
岡田「うん、そやな。万波はちょっと後ろの方ええな。6番ぐらい打つようになったら」
新庄「メモっとこ!」
(一同、爆笑)
岡田「相手からしたら万波が6番におったら怖いよな」
新庄「5番じゃなくてか。じゃあ2番は?」
岡田「松本やわ」
新庄「五十幡くんが出てきたんですよー」
岡田「ああ、足が速いのな」
新庄「岡田さんなら五十幡くんは1番ですか?」
岡田「足の速いのが1番やな」
新庄「あー、やっぱり」
岡田「2番の左ってあんまり好きちゃうしな」
新庄「五十幡くんが1番で塁に出た時に、右バッターの方が(一塁走者が)いいスタートだと見えるから見逃せるんで。なので、僕も1、2番が左左はあんまり好きじゃないんですよ。だから、1、2番は五十幡くん、松本くんも…」
岡田「1番が盗塁できるんやったら、2番は右の松本の方がええわ」新庄「水谷くんも使いたいんです、レフトの。いいパンチしてるんで」
岡田「水谷、万波が6、7番におったら強いで。一発あるしな。やっぱり上位はちょっと確率のある選手の方ええよ、点取るにはな」
新庄「キャッチャーはリードですか?打つじゃなくて?」
岡田「うん、リード。俺は基本的にはコントロールがいいピッチャーは坂本でいったんよ。力勝負するピッチャーは梅野でいった。キャッチャーは冒険するやつは怖いな」
新庄「うちは田宮くんと、ベテランの伏見くんと、バッティングがいい郡司くんがいて。この3人、ちょっと面白いなと思っています」
-相性もある分、捕手のレギュラーを固定するのは難しいか。
岡田「いやいや、レギュラーを決めれるんは決めれるんやで」
新庄「ですよね」
岡田「でもやっぱりピッチャーのボールとの相性とかが絶対あるしな。やっぱり6、4から7、3ぐらい(の割合)でピッチャーの投げやすいキャッチャーじゃないとな。同じようなレベルがおれば間違いなしに。冒険する必要ないもん、バッテリーって。打つよりも0点に抑えた方がええわけやからな」
新庄「岡田さん、ずっと固定して使うじゃないですか?僕、固定してやりたいんですけど、なんか控えの選手がかわいそうになってきて。もう試合に出たいじゃないですか?その優しさが監督向きじゃないんですよ、僕は。岡田さんは『もう固定!』でしたけど、勝ち抜くためにはもちろん固定ですよね?」
岡田「キャッチャーはね、やっぱり固定の方がいいで。(出場試合が)3桁はいかなあかんな。メイン(の捕手)が100(試合出場)で、ピッチャーと兼ね合いであとのキャッチャーが30、40でな。100で6割勝ってくれたらデカいよ」
新庄「キャッチャーの100は意外としんどいですね。今の時代は。結構、変わりますからね」
-岡田顧問は選手能力の見極めをすごく大事にしていた。
岡田「やっぱりチームにどんだけ貢献できるかやで。3割打者を出したり、ホームラン30本打てってノルマにするのは難しいわ。でも、チームには貢献させられる。そういう選手の方がチームにはプラスになるからな」
新庄「1死三塁で、ショート、セカンド(の守備位置)が下がってる時に、セカンドへの詰まったゴロ好きですか?」
岡田「そうやな」
新庄「そうですよね、僕も好きなんですよ。でも、できないんですよ。だからサインで出さないといけないんですよ。ショートゴロ、セカンドゴロ打ってくれっていう。それ(サイン)を出してしまうと、今度は打ち上げてしまうんですよ」
岡田「俺は今回の監督2年間で2つ、失敗した。1つは日本シリーズで代打・T-岡田が来た時に島本を行かした(※2)。絶対にT-岡田は代えんと思うたから。ほんなら代打の代打、安達が来て。うわって思うたわ。こっちピッチャーを代えられへんやんか。初めての失敗やわ、代打の代打でかぶせられてのな」
新庄「結果は?」
岡田「三塁ゴロでホームタッチアウトや。あれは助かったわ。1年目はあれだけやったな。去年は佐藤やなあ。巨人戦で0-0の六回無死二塁で進塁打のサインを出さんかったんや(※3)。平田(ヘッドコーチ)に『ここでセカンドゴロ打たんとあかんということは(サインを)出さんでも分かるやろう』って。そしたら浅いセンターフライ。三塁に進んでたら、(次打者)前川のセンターフライで1点取って、勝ってたら優勝してたかもな」
◇ ◇
※1 24年4月24日・DeNA-阪神戦(横浜)。1-3の九回無死から代打・糸原、近本の連打で一、二塁とし、中野の中前打で満塁に。続く森下が押し出し死球、大山が同点中前打。さらにノイジーの押し出し四球で勝ち越すなど一挙4点を奪って逆転勝ちした。
※2 23年11月1日の阪神-オリックスの日本シリーズ第4戦(甲子園)。3-3の八回1死一、三塁で代打・T-岡田が送られると、岡田監督は石井から島本にスイッチ。すると、オリックスは代打の代打・安達を送った。
※3 24年9月23日・阪神-巨人戦(甲子園)。0-0の六回に先頭の大山が二塁打を放った直後、佐藤輝が中飛で走者を進められず、直後の七回に先制されて0-1で敗戦。前日22日は巨人を破って残り6試合で1ゲーム差に迫っていたが、2差に広げられて優勝が遠ざかる1敗となった。
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