岡田阪神 38年ぶり悲願の日本一 5回舞った!「長かったですね」アレのアレ

 「SMBC日本シリーズ2023、オリックス・バファローズ1-7阪神タイガース」(5日、京セラドーム大阪)

 「SMBC日本シリーズ2023」の第7戦が行われ、阪神が7-1でオリックスを破って対戦成績を4勝3敗とし、1985年以来、38年ぶり2度目の日本一に輝いた。球団の悲願を果たした岡田彰布監督(65)は5度、宙を舞った。MVPには打率・483をマークした近本光司外野手(28)が選ばれた。虎がついに、新たな歴史の扉を開いた。

 あふれる感情を抑え、岡田監督はゆっくりとベンチを出た。歓喜の輪に加わり、ナインの顔を見ると、潤んだ瞳は笑みに変わった。ありがとう-。スタンドの虎党も泣き笑い。あの85年以来38年ぶり、日本一の胴上げだ。かつての本拠地・京セラドームで計5度、至福の時間に浸った。

 「何とか達成できたので、アレのアレを。ちょうど27歳だったんですけど、前回の日本一の時、長かったですね。選手でも監督でも日本一を達成できて幸せだと思います」

 59年ぶりの関西シリーズ。英知を振り絞った。ターニングポイントとなったのは「湯浅の1球」だ。その裏に勝負師ならではのひらめきがあった。

 みやざきフェニックス・リーグ終了後、安芸キャンプ行きかチーム合流か、決断を迫られ、第3戦からの合流を決めた。コーチ陣の見立ては本来のボールではない。それでも指揮官は「湯浅入れよか」。1勝2敗で迎えた第4戦のベンチ入りにゴーサインを出した。

 起用する場面は伝えなかった。当日、展開を見てブルペンで準備を始めるよう指示すると、同点の八回2死一、三塁のピンチで「湯浅にかけた」。超満員の甲子園は今年一番の熱狂だ。リスクを恐れぬ采配の妙、勝負度胸にベンチの誰もが驚愕(きょうがく)。味方をも欺く大ばくちで、短期決戦の流れを引き戻した。

 シリーズの重圧は想像を絶していた。決戦前夜からナーバスに。劇的サヨナラ勝ちした第4戦の試合後は興奮からか、声と手が震えた。「今日もう(甲子園に)泊まろかな」。ジョーク交じりにつぶやくほど疲労困憊(こんぱい)。第5戦は森下の逆転打にベンチで感極まった。食欲も減少。妻・陽子さんには「軽いもんでいい」とにゅうめんを頼み、流し込んだ。激戦に次ぐ激戦を制して頂点へ。猛虎を愛し、猛虎に愛された男が宿命を果たした。

 幼き日、阪神の後援者だった父・勇郎さんに手を握られ甲子園へ足を運んだ日々が原風景だ。「オヤジとよう来たなあ」。亡くなって37年。今春、実家から仏壇を自宅に移した。父の思いはいつもそばにある。大阪市内の施設で暮らす母・サカヨさんには折を見て連絡を入れる。「施設の人が教えてくれるらしいよ。今から(阪神戦の)テレビ始まるとかな」。かつてスタンドにはいつも応援熱心な母の姿があった。選手、監督として日本一に輝くのは球団初の偉業。大阪・玉造から紡いできた親子の夢がようやく結実した。

 05年日本シリーズはロッテに4連敗。「宿題というか、目標を残してもうたな」。失意の中、リベンジに燃えたが、大逆転V逸した08年にタテジマを脱ぐと、12年シーズン最終盤にはオリックス監督を電撃解任。その夜、親しい仲間と北新地で朝までグラスを傾けた。「何でや!」。周りが憤りの声を上げても、恨み、未練は一切口にはしなかった。表情も不思議とすっきり。座右の銘「道一筋」に生きざまを貫き、積年の思いを晴らした。

 「オリックス、強かったです。最後の最後、どっちに転ぶか分からない展開で。プロ野球の締めくくりでいいゲームができて良かったと思います」

 もう38年も待たせない。名将・岡田のもと、若いチームはまだまだ強くなる。ついに、猛虎の時代の到来だ。

 ◆妻・陽子さん見届けた 岡田監督の妻・陽子さんは京セラドームで日本一の瞬間を見届けた。「今年の集大成として勝ってほしいと思っていました。いい形で終われて良かった」と喜んだ。試合後、会見へ向かう岡田監督と再会し「おめでとう!」と祝福して手を握った。息子・陽集さんファミリーは10月から赴任先のインドネシア・ジャカルタへ転居。出国前には孫2人とライン電話でつなぎ、岡田監督は「バイバイ」と手を振っていたという。

野球スコア速報

関連ニュース

編集者のオススメ記事

阪神タイガース最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(阪神タイガース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス