阪神・木浪「守り」で奪回した遊撃レギュラーの座 短期決戦もポイントは「絶対守りですね」
18年ぶりリーグ優勝を果たした阪神は38年ぶりの日本一への挑戦権を懸けて、18日からCSファイナルSを戦う。ポストシーズンの10月に活躍する選手の代名詞「ミスター・オクトーバー」になるのは誰か。トラ番記者がイチ押し選手を紹介する新企画の第6回は、遊撃レギュラーを奪回した木浪聖也内野手(29)を取り上げる。
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実力でポジションを奪い返した男の言葉は力強い。今季は「8番・遊撃」に定着し、初の規定打席にも到達。打が脚光を浴びる中、1年間、大切にしてきたのは「守り」だ。木浪に短期決戦を勝ち抜くポイントを問うと、間髪入れずに言った。
「絶対守りですね。とにかく守りしか考えていないです」。CSファイナルSは1勝のアドバンテージがあるとはいえ「しょうもないミス」でシリーズの流れを失いかねない。1年間、岡田監督が掲げる「守りの野球」を実践してきたからこそ、ワンプレーの重要性を実感している。
「守備が良ければ打撃につながってくる」がポリシーだ。今季はリーグ4位の20犠打、同5位の得点圏打率.310をマーク。チャンスメークだけでなくつなぎ、勝負強さなど万能ぶりを発揮した。リーグ優勝が決まってから「ちょっと(打率は)落ちてきましたけど、それをプラスに捉えてこれから上がっていければいい」と前だけを向いている。
シーズン途中、指揮官から「木浪はリーダーシップがあるな」と新たな魅力を見いだされた。「声を出すことは誰にもできることなので、自分にできることをやるだけというのでやっているので…。そう思ってくれるのはうれしいですね」。本人は照れくさそうに話すが、木浪にとって自然な振る舞いだ。思い返せば、昨季、無観客の鳴尾浜での2軍戦で人一倍声を張り上げ、投手に声かけしていたのが木浪だった。
「それがもう自然になっているので。ピッチャーに声をかけるとか、試合中に声を出すとか、そういうのは普通になってますし、できることは精いっぱいやるということです」
今季、ベンチで涙を流す前川、森下のそばに木浪がいた。その光景は決して偶然ではないはずだ。後輩から慕われ、ナインからの信頼も厚い。「まずは守備を第一に考えながらやっていきたい」。リーダーシップも兼ね備える29歳は初心を胸に刻み、ポストシーズンの大舞台に挑む。(デイリースポーツ阪神担当・杉原史恭)
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