「阪神タイガース２－４横浜ＤｅＮＡベイスターズ」（３０日、甲子園球場）

　甲子園に自然と拍手が湧き起こる。大声援に後押しされ、腕を振った。明日へとつながる見事な火消し。阪神・石井が１０試合連続無失点をマークした。

　厳しい場面で出番が巡ってきた。２点ビハインドの七回に加治屋と島本が招いた１死満塁の大ピンチ。これ以上は失点が許されない状況でマウンドに上がった。まずは桑原をカウント１－２と追い込むと、キレのあるフォークで空振り三振。地鳴りのような歓声に包まれた。

　ここでマウンドへ駆け寄った坂本から声をかけられた。

　「『絶対抑えられるから、思い切ってこい』と言ってくれたので、信頼してフォークも落とせました」

　続く蝦名に対してカウント２－２から投じたワンバウンドのフォークにはバットは止まり、フルカウントに。その瞬間、聖地のスタンドからは大きな拍手が降り注いだ。「もうあと一人ということで、気を引き締めました」。心強いエールを受けて投じた７球目。１５０キロ外角直球で蝦名を二飛に仕留め、絶体絶命の危機を脱出した。

　これで今季は３２試合に登板して防御率０・８９と圧巻だ。「次は勝っているところでこういう投球ができるように」と右腕。登板機会に飢える若虎が、ブルペンを支える。