【岡田彰布氏の眼】阪神・青柳が粘れた要因はスライダーの制球修正
「阪神2-1中日」(15日、甲子園球場)
阪神・青柳晃洋投手が自身7連勝で両リーグ最速となる今季10勝目をマーク。球団では93年・湯舟以来、29年ぶりだ。
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青柳の状態は今季一番悪かったように見えた。前回8日・ヤクルト戦は、僅差の間は左打者にスライダーを投げておらず、今回も初回は左打者の外角スライダーがほぼ抜けており、二回は使わなかった。
それでも三回無死二塁から高松、岡林をスライダーで打ち取ると、左打者のスライダーに感覚をつかんだのか、配球が変わって投球を立て直した。これまでコンビを組んでいた坂本から、梅野に代わったことも奏功したのかもしれない。
私は投手の調子のバロメーターは、決め球ではないと思っている。青柳の場合はツーシームとシンカーを中心とした投球だが、バロメーターはスライダーだろう。
私が現役時代に対戦した中日・山本昌はスクリューが代名詞と言われているが、打ちにくかった球はスライダーだった。打者からすれば、決め球以外に難しい球種があるだけで厄介だ。この試合で二回までに46球も投げた青柳が粘れた要因は、スライダーの制球を修正できたからだろう。