総力戦になれば強い阪神がなぜ最下位にいる?高代氏「コマを使い切ってこそ」

 「阪神9-7日本ハム」(3日、甲子園球場)

 阪神が脅威的な粘りを見せた。大山の3発と投打にわたる“つなぎ”の全員野球で逆転勝ち。デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏は「持てるコマを使い切ったからこその勝利」と語り、選手起用に総力を傾けたベンチワークを評価した。

  ◇  ◇

 阪神の八回の攻撃には執念を感じた。打者が一巡する間に、代打と代走で捕手の片山以外の野手を使い切り、逆転に賭ける姿勢を見せた。

 これまでは終盤の勝負どころで、延長を考えた末に“力を余して”負ける試合があったが、この日はそれがなかった。コマを使い切らずに終戦を迎えるという愚を犯すことなく、見事に引っ繰り返したね。

 やることをやって負けたのなら仕方がない。勝つために勝負に出たのであれば、それは選手を鼓舞することにもなる。

 阪神には足があり守れる選手が多いから、こういう総力戦になれば投手力も含めて有利なはず。その特長をしっかり生かせたのではないか。決して最下位にいるようなチームではないからね。

 先発したウィルカーソンの不調で三回までに7失点。この敗色ムードを一変させた立役者は、何と言っても3本塁打を放った大山だろう。

 中でも注目したのは八回の一発。この3本目に“面白い”攻防が見られたからだ。日本ハムバッテリーは1、2球目に外角への変化球で大山を追い込んだ。次の3球目。捕手の宇佐見は内角の直球を要求した。

 それを待ち構えていたように左翼席へ運んだわけだが、この内角球は必要だったのか。ボールゾーンには構えていたが、あわよくば三振という狙いがあったように映った。

 伏線はあった。前の打者の佐藤輝に対し、2球目に変化球で空振りさせたあと直球主体に攻めて、最後も裏をかくようにして直球で見逃し三振に仕留めていた。

 これがあったがために直球を選択し“二匹目のどじょう”を狙ったように感じた。

 さらに7-5という点差。1点リードの状況なら危ない内角球は要求しなかったに違いない。つまり“変な余裕”で自ら墓穴を掘ってしまった。それを見逃さずに反応した大山は立派だったし、この1点が勢いを生み、逆転の呼び水になった。

 それにしても新庄ビッグボスの野球は楽しいね。スクイズあり満塁からのヒットエンドランあり。どちらも相手チームだけでなく、だれの頭にもない発想だったのではないか。

 ただ闇雲にやっているわけでもないようだ。それは選手が一発で決めているのを見れば分かる。

 私が最も感心したのは試合前のシートノックだ。とにかく打球に対する外野手のチャージが凄い。いわゆる“殺意”をもって本気でダッシュをかけてホームへ送球している。ここまでやっているチームを見たのは初めて。試合中の全力疾走も徹底している。

 ビッグボスが現役時代にやっていたことをそのままやらせているのでしょう。その教育が浸透してきているのかな。楽しみなチームに育ちつつあるね。

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