【谷佳知氏の眼】阪神は初球から振る積極性が必要 ベンチは絞り球の指示を

 6回、佐藤輝が出塁した後、三振に倒れた近本(右)と併殺に終わった大山(撮影・飯室逸平)
 7回無失点と好投した東
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 「DeNA1-0阪神」(20日、横浜スタジアム)

 DeNA先発の東は真っすぐが走り、チェンジアップも効果的で確かに状態は良かった。ただ、早いカウントでは左打者の外角を狙った真っすぐが結構、甘く入ってきていたし、逆球もいくつかあった。阪神が攻略するには早いカウントでは変化球を捨て、真っすぐ一本に絞ることが必要だとみていたが、それを見逃したり、振り遅れてファウルになる場面が多かった。

 負けが込むと、打者は思い切って振れなくなるものだ。

 前の打者が早いカウントで打って出て凡退すると、次の打者は「もっと球数を投げさせよう」と慎重になり、同じように早いカウントから打ちにいけなくなる傾向がある。結果的に早いカウントの甘い球を見逃し、追い込まれてから難しい球に手を出すしかない悪循環に陥る。現在の阪神打線はまさにそうした状態にある。

 相手投手からすれば、怖いのは佐藤輝だけだろう。後ろを打つ近本、大山の状態が良くないので、六、八回のような好機でも思い切って勝負を挑まれる。残念ながら佐藤輝を何番に置こうとも、せめてもう一人、状態がいい打者がいないとチャンスは膨らんでこない。

 打破するためには、恐れることなく、初球からどんどん振っていく積極性が各打者に求められる。そしてベンチも絞り球を明確に指示し、背中を押してあげる必要がある。打撃の状態はすぐには上がらない。だが、意識を変えることはすぐにできる。苦しい時こそ、チーム一丸で向かっていく姿勢が必要だ。

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