【高代延博氏の眼】阪神勝利の陰に3つの併殺プレー「二塁手の小幡もヒーローの1人だろう」
「阪神4-1巨人」(15日、甲子園球場)
阪神が青柳の好投と佐藤輝、ロハスの2ランで快勝した。守備では3併殺を完成させて巨人の反撃をシャットアウト。デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏(67)は「3つのゴロを素早いプレーで処理した小幡もヒーローの1人だろう」と語り“守り勝ち”を勝因に挙げた。
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巨人はまんまと青柳の術中にはまったね。“さあ行くぞ”というところで3度のゲッツー。青柳のゴロを打たせる投球に、してやられた感じだった。
阪神は佐藤輝が逆転2ラン。ロハスが追い打ちの2ラン。巨人のお株を奪うような一発攻勢で試合を引っ繰り返し、そのまま押し切ったが、ディフェンスのよさも含めて、いい試合だったと言える。
青柳の投球を支えたのが、そのバックの堅い守りだ。3度のゲッツーは、いずれも二塁の小幡の前に飛んだゴロだったが、技術面で評価できるプレー内容だった。
私に言わせれば、そのどれもがファインプレー。小幡もこの試合のヒーローの1人と言ってもいいのではないか。
彼は打球へのラインに入るのが非常にうまい。捕球後の動作も素早く、送球も正確だ。
そして二塁ベースに入る中野が、次のプレーに移りやすいところへ投げている。だから一塁への転送も早く、併殺プレーが完成する。何気なくやっているようで、実に高度なプレーと言える。
併殺崩れのあと、走者を残したがために失点するケースがよく見られるが、きれいに掃除してしまえばその危険もない。
巨人の打者は三回一死一塁と八回一死一塁が若林。四回無死一、二塁が丸。両選手とも左打者で足もある。それを難なくさばききっていたのは小幡だからこそ。糸原だったらどうだったか。
捕球してからの安定感やスローイングの強さは小幡がピカイチ。本来はショートだが、守備力を生かす意味で起用されているのだろう。
欲を言えば、もう1本ヒットを打って、課題の打撃力アップをアピールしてほしかったけどね。
例年、失策数が多く守備面に不安を抱える阪神だが、この試合のように守って守って我慢して、余分な点を与えない野球をしていけば、浮上の目は出てくるはず。
そういう意味でもエース格の“開幕指名投手”が戻り、この先、白星を計算できるのは心強いね。
開幕早々に抱え込んだ大きな借金は、コツコツと返していくしかない。ただ、こんないいゲームをした次の試合は絶対に勝たないといけない。そうやって勢いをつけることが大事だ。