「巨人９－５阪神」（３日、東京ドーム）

　阪神・糸井嘉男外野手が５点を追う六回に右翼席へ２号２ランを放った。序盤から打ちあぐねていた巨人のドラフト３位・赤星から反撃ののろしとなる一撃。その直後、背番号７の悔しさ、思いを象徴するようなシーンが三塁ベンチ前であった。

　ダイヤモンドを一周してベンチ前でハイタッチをかわしていく。矢野監督の背後で誰かがホームランを打った際に選手が首からかける「虎メダル」を手渡した。だが糸井はそれを手に取ると、首からかけることなく左手に持ったまま。厳しい表情を崩すことなく、ベンチに戻っていった。

　５点のビハインドを追いかけている最中。ベテランが見せた“鬼の形相”は、開幕からいまだ１２球団で唯一の０勝に対する悔しさを感じさせた。

　試合後、「早く１勝できるように頑張ります」と語った糸井。現在のチーム状況をどう見ているかの問いには、しばしの沈黙後「そうですね。何とか勝って流れを変えていけるように最善を尽くしたいと思います」と胸中を吐露した。