岡田氏が分析 阪神・佐藤輝30発に太鼓判 「点」から「線」へ打撃フォーム変化【連続写真】

 阪神、オリックスで監督を歴任したデイリースポーツ評論家・岡田彰布氏(64)が阪神・佐藤輝明内野手(22)の打撃フォームを分析した。昨年3月と今年3月のスイングを比較し、グリップの位置、顔の開きなど変化を指摘。今年は空振りが減り、ボールの見極めができている要因を明かし、今季の30本塁打以上に太鼓判を押した。

  ◇  ◇

 (岡田氏は2つの連続写真を見た直後、21年の連続写真が3月のオープン戦=20日・オリックス戦=であることに気づく)

 昨年の写真はオープン戦ぐらいではないか?オープン戦でホームラン王になっているぐらいだから、状態はそれほど悪くなっていない時期だが、それでもかなり違いがある。

 まず構えた(1)のグリップの位置が気になる。昨年はかなり高く、ヘルメットの上に出るぐらいにある。だが、今年はかなり下がって耳付近だ。

 私の理想では、佐藤輝のように背の高い打者が構えた時のグリップの位置は、高くても耳ぐらいの位置。そして、トップからバットを出し始める(5)でグリップは肩のラインぐらい。今年はそれに近い形で打てている。

 グリップは置く位置が高過ぎると頭から離れるが、低いと離れづらい。(3)~(5)あたりの写真を見れば分かると思うが、昨年はグリップと頭が離れ過ぎている。これではバットが遠回りし、空振りしやすくなる。今年はグリップと頭が近い位置にあり、インサイドからバットが出やすいスイングをしている。

 さらに(5)の顔の位置を見ると、昨年はかなり投手の方向を向いてしまっている。なぜかというと、グリップが高い上に(2)でバックスイングが浅いから。上げた右足はひねりもなく、反動をつけるために上げているように見える。(3)で両足が開き、体重が前へ行ってしまうから、(5)で顔が投手方向に開く。これでは相手の攻めに対応しきれない。

 対して今年は(5)でしっかり顔を残せている。(2)~(4)を見ると、昨年は右足のかかとが見えないが今年は見えている。それだけ軸足でグッとフォームを保てているということだ。

 また(2)、(3)では太もも付近がひっつきそうなぐらい近い。軸足へ体重を乗せて、体を残せている。これらが空振りが少なくなった理由だろう。

 昨年は(5)で顔が投手の方を向いているもう一つの理由は、相手のインコース攻めを意識し過ぎている点もあるだろう。写真の時期は内角を攻められ、そこに対応しようとして、だんだん顔が開いてしまったのではないか。その分、(6)では下半身が少し開いているし、今年とは目線も違う。

 だが、今年はインコースを意識し過ぎないで、ストライクゾーンの真ん中付近を見ているように感じる。だから、(5)のような顔の残り方になる。今のスイングを続けられれば、シーズンでもボールを見極められるだろう。

 今春キャンプではデイリースポーツの企画で佐藤輝と対談した際、「ボヨーンと打て」とアドバイスを送った。これは「低いグリップの位置からレベルスイングで、ボヨーンとボールを運ぶように打て」ということだ。

 トップでグリップの位置が高いと、上からパチーンとたたいて「点」で打つことになりやすい。これはパワーのない選手が「点」で捉えてボールにスピンを掛け、飛距離を出す打ち方だ。

 昨年までの佐藤輝はそういう打ち方だった分、バットとボールの軌道が合わせづらく確実性も低かった。だが、圧倒的な飛距離を出せるパワーがあるわけだから、そんなスイングをする必要はない。

 今年のように肩ぐらいの位置からバットを出し始めると、ボールとの接点を合わせやすく「線」で打ちやすくなる。(1)~(6)のような体の使い方ができていれば、ボヨーンとボールを運べて、チームから求められている本塁打も増えるはずだ。

 ボールがバットに当たった(7)以降は、昨年からホームランバッター特有の大きいフォロースイングで打つことができている。ここまでのオープン戦で0本塁打だが、打球は自然と上がっていくだろう。今季30本塁打以上は打てる。

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