阪神・及川「1イニングの大変さ学んだ」 高校先輩・中田氏と対談 昨季好調の要因など語る
デイリースポーツ評論家・中田良弘氏(62)と阪神・及川雅貴投手(20)の横浜高先輩&後輩対談が実現した。昨季の好調を支えた要因や、初の1軍キャンプを過ごす心境、そしてプレートの踏み方など投手談義に花を咲かせた2人。高卒3年目の今季、先発に挑戦する左腕は改めて開幕ローテ入りと2桁勝利を目標に掲げた。
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中田良弘氏(以下、中田)「高校出て1軍で何年目にやりたいとかあった?」
及川雅貴投手(以下、及川)「高卒で3年目、今年ぐらいに1軍デビューして何試合か投げて勝ててるといいなってイメージはしてたんですけど。1年目は思うような投球もできなくて、まさかその次の昨シーズン、1軍の戦力として投げるっていう想像は全くできてなかったです」
中田「自分からしたら1年早かった」
及川「そうですね」
中田「でも、良かったよね。高校の時(の投球を)テレビで見たんだけど、もう一つ調子が悪かった。スライダー系が多かった。そういう時あったでしょ。去年の投球は見てて、どんどん真っすぐで押す。あれ良かったよね。速くなってない?」
及川「そうですね。中継ぎっていうのもあると思うんですけど、だいぶ安定して速いスピードが出るようになったかなと思います」
中田「まだ若いのもあるけど、向かっていく気持ちが成功したと思うんだよ。自分でも手応えを感じた?」
及川「今まで高校の時もそうなんですけど、調子の良い時期が続かないという課題があったんです。けど、昨シーズン、ある程度良い調子のまま投げることができていて、もちろん疲労も途中はあったんですけど、それでもやっぱり状態っていうのはしっかり維持して。ほぼ1年通して投げられたので、そこが1番の成功かなと思います」
中田「今年は先発を目標に、若いからどんどん長いイニングを放ってね。そういう意味では去年、リリーフ陣たちの気持ち、ブルペンの大変さも分かっただろうしね」
及川「すごい、そこはリリーフの大変さ。先発をやってきた中で、中継ぎはやったことなくて、やっぱり1イニングの大変さっていうのはすごく学びましたね」
中田「去年の経験があって、先発するにあたって何か自分なりに変えてることってある?球数多くするとか」
及川「この時期は投げ込みとかしてるんですけど。もちろん先発にしろ中継ぎにしろ投げ込みは必要なわけじゃないですか。やっぱり長いイニングを投げるということで、1回のブルペンの球数っていうのは意識してやってみたりしています」
中田「今年最高どれくらい」
及川「まだ(1日の球数で最高は)110ちょっとくらいですかね」
中田「難しいよな。肩、肘が消耗品だしな」
及川「投げ込みに関しては去年、安芸キャンプスタートでしっかり意識してやった中で、中盤くらいから肩のコンディションが悪くなってしまって思ったように投げ込めなかったので。今すでに去年以上に投げることができていて、肩肘の状態もいいですし、順調に投げられてます」
中田「ある程度自分のペースで投げられてる?」
及川「そうですね。今年はちょっと無理する部分はあるんですけど」
中田「1軍のピッチャーがブルペンで投げてて、隣のボールが見えるやん。どう?」
及川「めちゃめちゃ気になります。変に意識してしまったり、それで自分のピッチングが崩れてしまったりとかあるんですけど…」
中田「ホンマ嫌なんよな。例えば藤浪とかさ、速いピッチャーが横に来たらな。見えるから力むよね」
及川「力みますね。やっぱり隣のピッチャーと、かぶらないように投げたり気を使ったりとかあるので、難しい部分は多いですね」
中田「及川が投げて、両サイドが嫌やなって。そうなったらいいよね」
及川「そうですね。そういう立場になれたら」
中田「今年、プレートの踏み方変わってるよね」
及川「変わりました」
中田「普通、プレートの半分ぐらい(までスパイクの)歯をかけてやるけど、こう(軸足のつま先をセンター方向に)入れるじゃん。あれ、昔から?」
及川「体の構造上、あおむけになった時に左足が(外側に)開いてしまうので。(今までは)それにあまり気付かずにセオリーはほぼ、こう(プレートと平行)か、ちょっと開くくらい。それに気付いてから、これ(軸足が外側に向く踏み方)が正常なわけじゃないですか。こうやったらしっかり前に踏み出せるし。(今まで軸足が)若干、ちょっと開き気味だなって思っていたんですけど、なんでだろうってずっと思っていて。ある日やったら、すごく力が伝わる方向だったので」
中田「右足がスムーズに出るようになった?寝てて、自分の足がこうだ(外に開く)なって?」
及川「ずっと気になってはいたんですが、プレートの踏み方とかは全く考えたことがなくて」
中田「アマチュアの時は、すごいプレート掘れるやん。うまいこといかないもんね」
及川「それこそ高校の時は、プレートに足をかけたりとかしてたので。その時は絶対こうにはならなかったので、プロに入ってからですね」
中田「普通はあんまり、こっち(センター方向)に入れたくないのがあるけど、うまいこと入れながら踏み出す足がしっかりして、上半身がついてくる」
及川「自然に。最初はちょっとずつ、いってたんですけど、最終的にたどり着きました。今はそれがすごいしっくりきています」
中田「球を見てても、去年の疲れとかないよね」
及川「今のところはあまり感じてないですね」
中田「(試合で対戦相手の)バッターがテレビで見ていた人が多いでしょ」
及川「最初は気持ちが高ぶりました」
中田「それが通用するんだからね」
及川「まだまだですけど」
中田「高校とプロの差っていうのはバッターを見てて何が1番、違った?」
及川「やっぱり、まずはボール球を振らない。ちょっと漠然としたアレですけど。得意な球種としてスライダーがあるんですけど。スライダーをしっかりベース前に落として、良いとこに落としたとしても、バットが止まったりとか。そういう変化球の見極めっていうか、やっぱり空振りが取れなくて。もちろんストレートもそうなんですけど、そこがプロの差を1番、感じました」
中田「こちら側がもうちょっとコントロールしないといけないよね」
及川「そうですね。やっぱりストレートの意識をバッターに植え付けないと変化球が生きていかないので、そこをしっかりやらないとプロ相手に通用しないんだなと実感しました」
中田「良いボールがきてるよ、球筋がね。やっぱり球筋だもんね」
及川「大事なところですよね」
中田「やっぱり、回転、スピンだよね」
及川「そうですね、スピン量だったり回転効率だったりですね」
中田「きれいなボールを放ろうと思ったら、自然に手首が立ってくるでしょ。ちょっと横だったらアカン。シュート(回転)しちゃう。去年、1軍でやって、ある程度自信もつけたと思うんだけど、他球団のバッターで、投げにくいなっていうのいた?怖いなとか」
及川「パッと思いついたのが、今年メジャーに行かれると思うんですけど、広島の鈴木誠也選手。何を投げたら抑えられるんだろうって。何を投げても打たれそうなイメージがありました」
中田「良いバッターだもんね。得意のマウンド、合う球場ってある?」
及川「もちろん甲子園球場は投げやすいですし、ナゴヤ球場も投げやすい印象があります」
中田「横浜は?」
及川「2試合くらいしか投げなかったので」
中田「狭いしな。怖いしな」
及川「そうですね、はい」
中田「今年の抱負って何かある?」
及川「まず、やっぱり開幕ローテーションに入ることを、最初は目指してやっていきたいっていうのがあって。あとはローテ入りして、しっかり1年間守って投げ切るっていうところで、最終的には2桁勝利したいと思っていますし。いろいろ段階を踏んで目標設定はしてるんですけど」
中田「ローテを守れば勝ち星もつくし、そしたら及川の時代がくるよ」
及川「くるといいです」
中田「あとは、ファンに一言」
及川「昨シーズン惜しくも優勝することができず、悔しい思いをしたと思います。チームに貢献して、優勝したいと思います」
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