岩貞欠き狂った阪神Vへの歯車 先発陣奮闘も西不調…七回やりくりにも苦心

 阪神・矢野燿大監督(52)が集大成と位置づけた就任3年目のシーズン。最終戦までV争いを演じたものの、16年ぶりとなるリーグ制覇はならず、前年と同じく2位が確定した。一時は2位に最大7ゲーム差をつけながら、なぜ悲願達成はならなかったのか。シーズンを振り返りながら、V逸の原因、そしてポストシーズン、来季へ向けての希望や収穫も交えて探る。今回は4回連載の3回目。

  ◇  ◇

 投手陣はシーズンを通して安定していた。チーム防御率3・30はリーグ2位。先発では青柳が13勝、秋山とルーキー・伊藤将も10勝。ガンケルも9勝を挙げ、期待以上の働きを見せた。

 痛かったのはエース・西勇の不調だ。キャンプはぜんそくの症状で離脱。調整も遅れて開幕投手を回避すると、シーズンでも過去2年のような安定感が影を潜めた。クオリティースタート(6回以上自責点3以下)は昨季の80・9%から50%に大幅ダウン。

 それでも矢野監督の信頼は厚い。「勇輝が投手陣を引っ張ってくれる」と後半戦の開幕投手に指名。9月10日の広島戦では通算100勝を達成した。節目の白星を復調のきっかけとしたかったが、その4日後に寝違えの症状で一時離脱。右肘の違和感で二回途中に緊急降板した10月13日・巨人戦が最後の登板となった。移籍3年目は6勝9敗、防御率3・76。長年、ローテを守ってきた代償なのか、1年間アクシデントに見舞われ続けた。

 4年連続リーグ1位の防御率を誇った中継ぎ陣にもほころびが見える。救援防御率は19年の2・70、20年の3・31から今年はリーグ5位の3・83へ悪化。岩崎が41ホールド、スアレスも42セーブを挙げ八、九回は盤石だ。ところが、七回の男・筆頭候補だった投手キャプテンの岩貞が12ホールド、防御率4・66と精彩を欠いたことで歯車が狂ってしまう。前半戦は加治屋、石井大、小林らを勝ち継投に組み込んだが、固定には至らなかった。

 「サダ(岩貞)が頑張ってくれんとさ、なかなかチームとして成り立っていかない」

 そう嘆いた指揮官は五輪期間中に中継ぎ陣を再編成。アルカンタラを中継ぎに配置転換し、高卒2年目・及川も勝ちパターンに抜てきした。勝負どころで痛打を食らう場面もあったが、馬場、小川らと共に懸命に踏ん張った。

 今オフにはスアレスがメジャーに流出する恐れがあり、岩崎の勤続疲労も心配される。鉄壁リリーフ復活へ、ブルペン整備は急務だ。

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