阪神・西純 プロ初星!5回ノーノーデビュー 初回緊張で連続四球も山田、村上斬り

 帽子を飛ばし力投する西純
 先発し、力投する西純
 1回、帽子を飛ばしながら力投する西純
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 「阪神3-1ヤクルト」(19日、甲子園球場)

 “大人”になった姿を見てたら涙が出てきたわ…。阪神はプロ初登板初先発の西純矢投手(19)が、5回無安打無失点でプロ初勝利を挙げた。初回に制球が定まらない中、信じたストレートでヤクルト打線をねじ伏せた右腕。高校時代の派手なガッツポーズはなくとも、強い心と冷静なマウンドさばきで聖地に大きな一歩を刻んだ。

 圧巻の投球を披露した西純はベンチで強く祈った。両チーム無得点の五回1死。近本が値千金の先制ソロを放つと、まるで少年のように喜びを爆発させた。ベンチで打のヒーローとグータッチ。満面の笑みで3度、力強く手をたたいた。

 プロ入りした日から待ち望んでいた舞台。だが「心臓が飛び出るぐらい緊張しました」と初回は明らかに表情が硬かった。先頭から2者連続四球。それでも信じたのは武器とも言えるストレートだった。山田を145キロで差し込んでの二飛に打ち取り、続くリーグ本塁打王の村上に投じた8球中、実に7球が直球だった。

 最後は高めの直球で屈指の強打者を押し込み中飛に仕留めると、続くオスナは145キロで見逃し三振。鮮やかにピンチを脱し、「よっしゃ!」と思わずほえた。

 以降も直球の威力は衰えることなく、カーブも織り交ぜながらヤクルト打線を翻弄(ほんろう)。5回無安打無失点でプロ初登板初先発初白星。球団の高卒ドラフト1位では史上初の快挙だ。

 今春キャンプは1軍スタートも、し烈な開幕ローテ争いを勝ち抜くことはできなかった。今季の開幕日だった3月26日。西純はナゴヤ球場でウエスタン・中日戦に先発した。「東京に行くことができないって悔しさは持っています。チャンスを自分はつかむことができなかった」-。その悔しさが飛躍の原動力になった。

 この日、さえ渡ったカーブも2軍で磨きをかけた球種。新人時代の昨年、打ち込まれたゲームの次戦では一つ一つ成長した姿を見せてきた。力強いストレートも、落ち着いたマウンドさばきも、すべては悔しさを原動力に成長してきた揺るぎない証だ。

 右翼席には高校時代のチームメートが創志学園のユニホームを着て駆けつけた中、立った聖地でのお立ち台。「2年目の西純矢です。もっともっと四球を減らして、圧倒的な投球ができるようなピッチャーになります!」。7002人のファンの前でこう自己紹介すると、この日一番の拍手が響き渡った。

 スアレスから手渡されたウイニングボールは「母にあげたい」。そしてもう一人、報告したい人がいた。17年10月11日に脳幹出血により他界した父・雅和さんだ。「見てくれてるんじゃないかなと思ってます」。虎党、そして天国の父へ届けた希望の1勝になった。

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