阪神・近本、値千金の同点打 原口&熊谷が突破口、選手会長が執念の一打
「阪神2-1中日」(13日、甲子園球場)
執念と意地を詰め込んだバットが、劇的勝利を導いた。鮮やかな一撃。劣勢のムードを変えたのは阪神・近本の一振りだった。
1点を追う七回だ。2死走者なしから必死にチャンスを作った。代打・原口が四球を選ぶと、代走・熊谷はすぐさま二盗。逃せない好機で打席に立つ近本が集中力を高めた。
「いいピッチャーなんで、そう簡単に打てる球ではないんで。どうにかなれ、と思っていました」
ロドリゲスに2-2と追い込まれてからの6球目。高めに浮いた128キロスライダーを捉えた。打球は右腕のグラブをすり抜けて中前へ。同点適時打となり、試合の流れを引き寄せた。
序盤から得点圏に走者を進めながらも、あと一本が出ていなかった。それだけに、スコアボードに刻んだ待望の1点が大きい。「うちらしい点の取り方ができた。チームとしても1点で同点っていう形やけど、それ以上にいけるっていう気持ちにね、させてくれた」と矢野監督。それぞれが役割を果たし、生み出した反撃の勢いだ。
3年目で任された選手会長。これまでの2年間は無我夢中で駆け抜けてきたが、今年は違う。「1年目や2年目は自分のことばかり思っていましたけど。3年目はチームのためにどういう仕事をするのか」。近本は視野を広げ、強い責任感と共にシーズンに臨んでいる。
開幕から苦しんでいた打撃は5月に入って急上昇。五回2死一塁で4試合連続安打となる右翼線に二塁打を放ち、同点打で5試合ぶりのマルチ安打とした。個人だけでなく、チーム状態も好調。14日からは敵地・東京ドームで巨人との3連戦。虎の切り込み隊長が宿敵撃破の起点となってさらなる連勝を導く。