阪神・糸井、感謝のV弾 母へ贈った「ありがとう込めた」 気迫のガッツ!!
「DeNA2-3阪神」(9日、横浜スタジアム)
「母の日」に贈る最高のプレゼントだ。阪神の糸井嘉男外野手(39)が五回、同点に追い付き、なお無死三塁で決勝の2号2ランを放った。打撃手袋などピンク色を身にまとい、育ててくれた母親に感謝の思いを込めた一発だった。ベテランの活躍でチームは3カード連続の勝ち越し。デーゲームの連勝も1分けを挟み14に伸ばし、貯金も今季最多の14とした。
バットを投げ捨て、一塁ベースを蹴ると右拳を力強く振った。感謝を込めたこん身の一振り。糸井が横浜の空にアーチを描いたV弾を母の日のプレゼントに選んだ。
五回だ。サンズの適時二塁打と佐藤輝の激走で同点とし、なお無死三塁。反撃のチャンスを逃すわけにはいかない。ピープルズの142キロ直球を迷うことなく振り抜いた。「完璧でした」。乾いた衝撃音を残し、打球は右中間席に着弾した。
「テル(佐藤輝)とサンズで点を取ってくれて、一気にあの回で逆転できるチャンスだったので、しっかり強く振り抜こうという思いでした」
7日のDeNA戦以来となる2号2ラン。三塁ベンチ前でナインと喜びを分かち合い、中継用のカメラに向かって力こぶをつくったが、意地の一発だったに違いない。今季1号を放った翌8日はスタメンから外れ、新外国人のロハスが起用された。この日はガンケルが先発したため外国人の出場人数の関係でロハスがベンチから外れたこともあり、糸井が今季2度目のスタメン出場。厳しい立場だが結果を出すしかない。
七回1死二塁の第3打席でも中前打を放ち、今季初のマルチ安打を記録。「もちろん、いつでも出たいという気持ちは強く持っていますし、チームの状態がすごくいい。自分は自分でしっかりいつでもどこでも力を出せるように準備はしています」とうなずいた。
この日は母の日。普段よりも気合が入っていた。ピンク色のリストバンド、アームカバー、打撃手袋、エルボーガードを着用して試合に臨んだ。7月には40歳を迎える糸井。22歳でプロの世界に飛び込み、今季で18年目になる。「大人になるにつれて親のすごさだったり、ありがたみはすごく感じますし、やっぱりすごく感謝しているし、なかなか『ありがとう』と伝える機会もないので、そういうメッセージを込めました」。打席で母への感謝を白球に乗せた。
快進撃が止まらない猛虎。これで、デーゲームは1分けを挟んで14連勝となった。「チームが勝つことが一番なので、その力に少しでもなれるように、それだけです」。目の前の1打席に全力を注ぐという、糸井の一念が首位独走の勢いを加速させる。