【分析】阪神・佐藤輝の進化 4番・大山レベルに到達したある数値

 黄色い資料ファイルに目を通す佐藤輝
 サンズ(右)からアドバイスを受ける佐藤輝
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 阪神ドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)=近大=が8本塁打、24打点でチーム2冠の活躍を見せ、新人離れした結果を残している。その進化の過程を分析すると、ある一つのデータが浮かび上がってきた。それはスイング率の低下。全ボールをフルスイングしていた開幕序盤から、しっかりと狙い球を絞って打席に入っている現状をデイリースポーツのトラ番・関谷文哉記者がひもとく。(データは共同通信デジタル)

  ◇  ◇

 4月中旬以降からめざましい成長を遂げている佐藤輝。各球団との対戦が一回りし、2周目に入った4月14日・広島戦から2日の同戦までをひもとくと55打数17安打、打率・309、5本塁打、19打点と好成績が並ぶ。

 対照的に3月26日の開幕戦から4月11日・DeNA戦までの15試合は56打数11安打、打率・196に終わっていた。なぜ佐藤輝は躍進できたのか-。その答えを見つけ出す中で、「スイング率」というデータがある。

 開幕から対戦が一回りするまではストライクゾーンスイング率が84・3%で、ボールゾーンスイング率も46・3%と高い数値だった。しかし二回り目以降はストライクゾーンスイング率は75%で、ボールゾーンは42・4%に低下。ストライクゾーンに関しては大山らと同等のレベルに落ち着いてきた。

 佐藤輝は開幕直後から「確率良く打つことを上げていかないといけない」と意識していたが、ボールのゾーン、高低に関わらず強振するシーンが多く見られた。ただ、各球団と一回り対戦を終えた4月中旬以降はこんな言葉を口にするようになった。

 「いつも通り自分のバッティングフォームで、自分のスイングをしっかりする。相手の球種とかを(打席の中で)考えながら」

 サンズや首脳陣からアドバイスももらいながら、相手バッテリーの配球を予測して打席に入る。2日・広島戦では、前2打席はチェンジアップで打ち取られていた中、3打席目で同じボールを捉え、右翼席へ逆転満塁本塁打をたたき込んだ。

 バッテリーの傾向を頭に入れ「しっかりそれを意識して前で拾って打つことができました」とまさに狙い撃ちの一撃だったことを明かした佐藤輝。スイング率が示すように、「全てのボールをフルスイング」から「狙った球をフルスイング」という形に進化してきたことが分かる。

 阪神で長く4番を務めたデイリースポーツ評論家・金本知憲氏は、現役時代に配球を読んで打席に立っていたことを明かし「何も考えずに打てる人は天才型よ。狙ったボールだけは確実に打とうとね」。新井貴浩氏との対談でこう語っていた。

 持ち前のパワーとスイングスピードに、“考える力”が備わってきた佐藤輝。試合前にベンチで大きい黄色いファイルに何かを書き込んでいる姿も見受けられる。打率・252、本塁打はリーグ3位の8本、打点は同2位の24。これからどう数字を伸ばしていくか-。まだまだ底知れない能力を秘めているかもしれない。

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