阪神・矢野監督 野村さんに「日本一の報告を」就任時に贈られた意外な言葉を胸に

 はつらつと練習する選手らを笑顔で見つめる矢野監督
 1999年6月13日 阪神対巨人 5回、打者松井のとき、矢野(右)を呼び寄せアドバイスする野村監督=甲子園
 囲み会見を終え、練習場へ戻る矢野監督
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 阪神・矢野燿大監督(52)が11日、84歳で急逝した野村克也氏の一周忌を迎え、弔いVを誓った。1999年から3年間、野村監督の下でプレーし、多くのことを学んだ間柄。練習試合・日本ハム戦(名護)が雨天中止となったこの日は、宜野座ドームでヤクルトとの開幕カードを想定した走塁練習を敢行。「ノムラの考え」を継承し、日本一につながる開幕ダッシュを決める。

 嵐が吹き荒れ、宜野座ドームに風音が響いた。野村元監督の急逝から1年。矢野監督は神妙な面持ちで天国の恩師へ思いをはせた。

 「今の僕があるのも野村監督に教えていただいたことが大きい。今でもお手本にさせてもらうことがたくさんあります。1年たって早いなという思いもありますし、いい報告を今シーズン、しに行きたいですね」

 野村政権1年目の99年に初めて打率3割を記録。ノムラの考えをたたき込まれ、正捕手の礎を築いた。「うまい者が勝つというわけじゃない」。考える野球が指揮官の原点だ。

 阪神監督就任が決まった18年10月にはあいさつで自宅を訪れた際、1枚の色紙を贈られた。「野球に学び、野球を楽しむ」。監督時代を知る者にとって、意外に感じた言葉に指揮官は共感。色紙は今も監督室に飾っているという。

 「色紙にそう書いてあってうれしかった。野村さんもそう思っていたんだなと。だからオレはより、オレが思う楽しむというのをやっていきたい」

 野村監督の代名詞であるID野球を継承するように、この日のドームでは緻密な戦法を磨いた。練習試合の雨天中止を利用し、久慈内野守備兼バントコーチが発案した走塁練習を実施。セ・リーグローテ投手のけん制やクイックの映像を集め、近本、佐藤輝らがビデオモニターを見ながら盗塁スタートを繰り返した。

 「雨が降ってる時じゃないとなかなか時間が取れないから。こうやって5分、10分見るだけでもいいかなと思って」と久慈コーチ。そこには開幕投手最有力のヤクルト・小川やスアレスの映像もあった。

 昨季、チームは2年連続リーグトップとなる80盗塁を記録。筒井外野守備走塁兼作戦分析コーチは「タイガースは研究されると思うが、スキさえあれば走るというのは続けていく」と力説。開幕ダッシュへ、走塁への意識をナインで共有した。

 「日本一になると決めているので。日本一の報告をしたい」。矢野監督は改めて、弔いVを誓った。監督就任3年目。野村氏の教えを受け継ぎ、矢野野球の質を高めていく。

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